九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第25回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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ステップ肢位における前方移動能力と歩行との関連性
*長野 毅松崎 哲治
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p. 13

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抄録

 本研究の目的は、ステップ肢位での前方移動能力と歩行との関連性を分析することである。対象は屋外歩行自立の脳卒中片麻痺患者7名(平均年齢58.4±8.8歳)とした。計測は麻痺側前方(_I_動作)と非麻痺側前方(_II_動作)のステップ肢位での前方移動動作と5m間の自由歩行(_III_動作)とし、分析は_I_と_II_動作の比較、_I_と_III_動作・_II_と_III_動作の関連性について行った。_I_と_II_動作の比較として、7名中6名が_I_動作の麻痺側下肢よりも、_II_動作の非麻痺側下肢への体重移動が安定して行えていた。しかし、中には_II_動作よりも_I_動作時に大きく前方移動できる者がいた。これは、体重支持が可能な非麻痺側下肢であっても不適切な筋活動であると、十分に体重移動することができないと考えられた。ステップ肢位での前方移動能力と歩行との関連性は、_I_と_III_動作では前脚麻痺側下肢の股・膝関節、_II_と_III_動作では前脚非麻痺側下肢の股・膝関節は同じ関節モーメントが発生しており、その関連性が示唆された。今回の結果、ステップ肢位であっても、歩行であっても股・膝関節、体幹の位置関係を観察し、どの筋がどの程度活動しているのか把握して治療を進めることが重要と思われた。

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© 2003 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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