主催: 社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会, 社団法人 日本作業療法士協会 九州各県士会
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慢性関節リウマチに対する人工関節置換術は下肢(股・膝)に比べ上肢(肩・肘)へのアプローチは積極的であるとは言えず、とくに肘関節においてはこれまで滑膜切除、関節形成術が主であった。しかし近年安定した人工肘関節置換術の成績が報告されている。今回、術前・術後の変化と短期予後の調査を目的とし、Kudo elbow type_V_を使用した症例9例9肘を対象に、関節可動域(屈曲、伸展、回内、回外)、日本整形外科学会肘機能評価法、疼痛の程度(横浜市大)について測定及び比較した。その結果、肘伸展角以外は全て有意に改善していた。特に疼痛、肘屈曲角度、ADL改善に良好であった。ADLに必要といわれている肘可動域である伸展‐30°、屈曲120°、回内・回外50°をほぼ満たす結果であった。しかし、1例のmutilans型は肩、手関節の破壊、変形が高度であったため術後の満足度は良好とはいえなかった。人工肘関節置換術の合併症として脱臼、感染、尺骨神経麻痺、異所性骨化による再強直があり、現在までにこのような合併は生じていないが、今後、loosening等に留意しながら長期経過観察をする必要があると考えられた。