九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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肩腱板断裂術後1年のリハビリ経過
*中村 亮二坂本 拓也辻 景子後藤 昌史福田 啓治樋口 富士夫永田 見生
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p. 11

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抄録

【はじめに】
今回、腱板断裂術後の小・中断裂群と大・広範囲断裂群における術後1年間のリハビリ回復過程を検討した。
【対象と方法】
2002年4月から2005年3月まで当院にて施行した肩腱板断裂術後の後療法は112例であった。このうち1年以上経過観察し得た31名を対象とした。さらに断裂面積(縦径X横径)により、10cm2未満の小・中断裂群15名、10cm2以上の大・広範囲断裂群16名に分けた。術後後療法は、両群ともにULTRASLING( DONJOY社)を使用し軽度外転・回旋中間位固定とした。4日目より他動的可動域訓練を開始、4週でBRACE除去し自動運動および等尺性筋力訓練開始(大・広範囲断裂群は6週でBRACE除去)、9週で等張性筋力訓練(大・広範囲断裂群は12週より)を開始した。これらの症例の可動域、筋力、VAS、JOAスコアを術前、術後2・3・6・9・12ヶ月で評価した。統計学的評価にはMann-Whitney検定を用い、P<0.05未満を有意差ありと判断した。
【結果】
小・中断裂群と大・広範囲断裂群では断裂面積(3.7cm2 vs 20.9cm2)で有意差を認めたが、年齢、罹病期間、術前の可動域、筋力、VAS、JOAでは両群間に有意差はなかった。可動域では、術後2ヶ月(屈曲・外転・内外旋)、術後3ヶ月(屈曲・外転・外旋)で小・中断裂群が有意に高値となったが、6ヶ月以降では有意差は認められなくなった。筋力にでは、術後3ヶ月(屈曲・外転・内外旋)、術後6ヶ月(屈曲・外旋)、術後9ヶ月(外旋)、術後1年(屈曲・外旋)で小・中断裂群が有意に高値であった。VASでは全経過において有意差は認められなかった。JOAでは、術後3ヶ月で小・中断裂が有意に高値であったが、術後6ヶ月以降では有意差は認められなくなった。

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© 2005 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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