九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 108
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脳卒中片麻痺患者に対する下肢荷重力測定法の信頼性
日差変動についての検討
*波多 良子大田尾 浩山田 雅博塚元 善清八谷 瑞紀村田 伸溝上 昭宏
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抄録

【緒言】
  我々は、高齢者および脳卒中片麻痺患者の下肢・体幹機能を定量的に評価する方法として、市販体重計を用いた座位での下肢荷重力測定法を考案し、その妥当性と有用性を検討してきた。本学会(第27回大会)においても、下肢荷重力測定法から得られた測定値に日内変動が少なく、高い再現性があることを報告した。しかし、日差変動についての信頼性は検討していない。今回は、脳卒中片麻痺患者を対象に下肢荷重力測定法の日差変動の再現性を級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficient:ICC)を用いて検討した。
【対象と方法】
 対象は、当院入院中の脳卒中片麻痺患者12名、24肢(男性7名、女性5名)であり、内訳は、右片麻痺8名、左片麻痺4名、平均年齢66.6±12.0(47~81)歳であった。発症から114.0±70.1(37~261)日経過していた。測定方法は、プラットホーム端と膝窩部間を拳1個分空けた端坐位をとり、足底に体重計を置いて最大限に5秒間押すよう指示し下肢荷重力値を測定した。測定は左右ともに各3回計測し、左右それぞれの最大値を採用した。日差変動を検討するため同様の方法で初回計測日から5日後に2回目を測定した。検者は経験年数3年目の理学療法士で初回、2回目ともに検者が測定した。統計処理はSPSS 15.0J for Windowsを用いて検者内ICCを算出した。対象者には、研究の趣旨と内容について説明し、理解を得た上で協力を求めたが、研究への参加は自由意志であり、被検者にならなくても不利益にならないことを十分に説明した。
【結果】
 下肢荷重力値は、初回の非麻痺側で17.9±5.2 kg、麻痺側で12.1±4.8 kg、2回目の非麻痺側で16.4±5.7 kg、麻痺側で12.9±5.7 kgであった。日差変動についての検者内信頼性はICC(1,1)=0.841(95%信頼区間0.670~0.927)、測定誤差は5.56kgであった。また、非麻痺側の信頼性はICC(1,1)=0.855(0.519~0.958)、麻痺側ではICC(1,1)=0.943(0.811~0.983)であった。
【考察】
 今回、脳卒中片麻痺患者を対象に体重計を用いた座位での下肢荷重力測定法の日差変動について信頼性を検討した。その結果、0.841と高い再現性が確認され、また非麻痺側、麻痺側別での検討においては麻痺側が非麻痺側より高い再現性を示していた。これらのことから、脳卒中片麻痺患者を対象とした下肢荷重力測定法は臨床的に利用可能であることが示唆された。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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