九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 11
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静的立位・立位での側方重心移動動作と歩行立脚期における体幹の運動学的関連性について
~脳卒中片麻痺患者の非麻痺側立脚に着目して~
*松田 友秋永濱 智美福田 隆一福田 秀文
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抄録

【はじめに】
 平行棒や実際の歩行補助具での立位保持や重心移動動作は、歩行を想定した評価・訓練の手段として分析・応用する機会が多い。しかし、両者の関連性に関して、身体の対応などの運動学的観点から検討した報告は少ない。
 今回我々は、脳卒中片麻痺患者の非麻痺側立脚に着目し、静的立位・立位での側方重心移動動作と歩行立脚期における体幹の運動学的関連性を検討したので報告する。
【対象】
 対象は監視~自立歩行が可能な脳卒中片麻痺患者7名(男性4名、女性3名、平均年齢:78.3±4.0歳)であった。
【方法】
 静的立位、非麻痺側への重心移動動作(以下、重心移動動作)、歩行を前方より撮影した。得られた画像より、床面からの垂線に対する胸郭(胸骨柄-剣状突起)の傾きを胸骨傾斜角、床面に対する骨盤(両側上前腸骨棘)の傾きを骨盤傾斜角、上半身重心(剣状突起)と下半身重心(上前腸骨棘、膝蓋骨を指標とした両大腿部中央)を結ぶ線と床面からの垂線との傾きを重心傾斜角として計測し、静的立位・重心移動動作と歩行立脚期との関連性を検討した。
 静的立位・重心移動動作は平行棒、歩行時に用いている歩行補助具(以下、補助具)、手放しの3条件で行った。
 歩行立脚期に関しては非麻痺側の荷重応答期~立脚中期を、麻痺側下肢の運動を基準に各2相(以下、LR初期、LR後期、MS初期、MS後期)に分類し、分析を行なった。
 統計学的処理は、スピアマンの順位相関係数を用いて行い、危険率5%未満を有意水準とした。
【結果】
1)胸郭傾斜角:手放しでの静的立位とLR初期(rs=0.83、 p<0.05)、補助具での重心移動動作とMS初期(rs=0.93、 p<0.05)に強い正の相関を認めた。
2)骨盤傾斜角:統計学的に有意な関連性は認めなかった。
3)重心傾斜角:補助具での静的立位と歩行立脚期全ての相に強い正の相関を認めた(rs=0.85~0.93、p<0.05)。
【考察】
 今回の結果より、静的立位や重心移動動作における胸郭の傾きが、特定の歩行周期における体幹部の傾きや歩行補助具と両下肢との荷重偏位の指標として応用できることが推察された。しかし平行棒での姿勢・動作では、全項目において相関が認められないことから、歩行時の対応を予測する評価指標としては検討の余地を残した。
 また、重心傾斜角の関連性から、補助具での静的立位が歩行立脚期における重心制御やこれに伴う身体の対応を表すことが示唆された。このことから、静的立位での上半身重心と下半身重心の相対的な配列を観察することは、歩行立脚期の動的対応を予測する上でも簡便かつ有用な評価であると考えられる。今後はこれらの関連性をもとに歩行立脚期の力学的分析につなげていきたい。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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