九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 117
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当院における寝たきり患者の呼吸ケアについて
*有村 圭司高柳 公司平野 真貴子内田 由美子野口 浩孝永田 光明子大石 賢大場 潤一横田 悠介太田 友樹田邊 花倫内田 薫 諸田 敦子松島 久美子
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抄録

【はじめに】
 当院では、植物状態に近い状態にある方や気管切開を行い寝たきり状態を強いられている方に対して廃用症候群の予防目的に理学療法を実施している。しかし、合併症の併発が多く理学療法の進め方に困惑する場面も見られている。今回、当院入院中の患者を対象に、呼吸ケアに対して現状・目的の把握の為に調査し、また看護師・介護士に対して呼吸ケアに関するアンケート調査を実施したので報告する。
【対象】
 平成20年4月に当院入院中の患者89名中、障害老人の日常生活自立度判定基準(以下寝たきり度)Bランク以上の27名を対象とした。また、当院に勤務している看護師42名、介護士11名をアンケートの対象とした。
【方法】
 上記患者を対象に、1)基礎疾患、2)年齢、3)性別、4)介護度、5)寝たきり度、6)認知症老人の日常生活自立度判定基準(以下認知機能)、7)呼吸器疾患の有無、8)吸引の有無 9)吸引回数、10)体位変換の有無、11)リハ実施有無をカルテより収集した。
 また、病棟における呼吸ケアの必要性、呼吸リハ認知度、呼吸リハに対する興味等、8項目から成る独自の質問紙表を作成し、当院に勤務する看護師・介護士にアンケートを実施した。
【結果・考察】
 基礎疾患は、脳梗塞後遺症が13名(48.1%)と最も多く、次いで内部疾患患者が5名(18.5%)であり、呼吸器疾患を有しているものが3名(11.1%)であった。また、上記3名以外に5名(18.5%)が呼吸器疾患を合併していた。要介護度は要介護5が15名(55.6%)と最も多く、次いで要介護4が5名(18.5%)の順であった。認知機能はランクIVが17名(63.0%)であった。 吸引実施者は14名(51.9%)であり、吸引回数の1日の平均は7.1回、体位変換は平均10回であった。リハ実施者は21名(77.8%)であった。
 アンケート結果としては、看護師42名中39名(92.9%)、介護士11名中11名(100%)から回答があった。呼吸ケアの必要性を感じるときは、「痰の貯留」が最も多かった。呼吸リハ認知度では、約半数が「詳しくは知らない」と回答していたが、大多数の者が「呼吸リハに対して興味がある」と回答していた。
 【おわりに】
 慢性期の寝たきり患者等に対するリハビリテーションの目標設定やリハビリテーションの内容を効果的に決めるのは大変難しく、拘縮予防はもちろんのこと、呼吸ケアや口腔ケアも大変重要と思われる。今後は、寝たきり患者さんに対する理学療法の内容や、チームアプローチで実施される、ケアなどを再度検討する必要があると考えられる。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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