九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 16
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高位頸髄損傷者における食事動作
~食事支援ロボット マイスプーンを昼・夕食に導入して~
*岩橋 謙次木村 利和小宮 雅美渡辺 良一賀好 真紀小川 栄美子椎野 達植田 尊善
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抄録

【はじめに】
 今回、頸髄損傷高位評価表C5Aの完全麻痺者を担当する機会がありADLを向上させる目的で食事支援ロボット「マイスプーン(セコム社)」を導入した。症例にマイスプーンの操作方法の指導を行なうと同時に各部門との調整を行ない昼・夕食の食事動作自立に至ったのでここに報告する。
【症例】
50代 男性 C4脱臼骨折 頸髄損傷高位評価表C5A Frankel分類A
MMT:僧帽筋4/4、三角筋1/1、上腕二頭筋1/2、手根伸筋以下ゼロ
ADL:電動車いす操作(チンコントロール)、パソコン操作(マウススティック、赤外線入力装置)、携帯電話操作、テレビ操作(操作支援スイッチ)自立。
【経過】
 H19年11月15日OT室にて標準ジョイスティックを顎で操作してのマイスプーン操作訓練開始。設定は感度「高」、手動モードで行なった。OT室での操作訓練は特に問題もなく、操作方法を習得できた。当センターではマイスプーンでの食事摂取において前例があり、担当看護師に操作方法、本体管理、セッティングを依頼し、栄養管理室には、一口おにぎりや汁気の少ないもの等、食事形態について依頼した。しかし、マイスプーン専用トレイでは消毒や温冷管理が行なえなかったため、前例と同じように角皿を外枠(松花堂弁当製化)に組み合わせることによって11月27日病棟にて電動車いす上での昼食摂取が可能となった。また、夕食時には、昼食時の電動車いすから、ベッド上になるため環境設定が重要であった。そこで、マイスプーン本体は固定しオーバーベッドテーブルの上下動作のみでマイスプーンの操作が行なえるように配慮するのと同時に、食事中に痙性で身体が傾くことが予測されたため体幹の両側にクッションをあてることで対応した。そして、H20年2月29日マイスプーンでの夕食摂取が自立となった。
【結果】
 当センターにおいてマイスプーンを使用した症例は2例目であったが栄養管理室、看護師の協力もあり今回、昼・夕食の食事動作を自立することができた。マイスプーンで食事するためには介助者の食事形態の工夫が不可欠であるが、当センターでは食事が運ばれるまでの間に汁気がでたり、ヒジキなどの細かいものは食べることができなかった。現在は症例が食べにくいと判断した料理には手を付けないことも多く、今後も工夫を重ねていくことが必要である。
【まとめ】
1.ADLを向上させる目的でマイスプーンを導入し食事動作の自立を目指した。
2.症例に対してマイスプーンの操作方法を指導すると同時に、栄養管理室、看護師との調整を行なった。
3.昼・夕食の食事動作自立に至ったが、運ばれてくる間に汁気が出るものなどは、食べる前に介助者が汁気を吸い取るなどといった工夫が今後必要である。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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