九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 2
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注意障害と左半側視空間無視における障害特性について
-聴覚性注意検査を用いての比較-
*大迫 裕二瀬戸山 弘貴本松 逸平八反丸 健二窪田 正大
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抄録

【はじめに】
右大脳半球損傷患者は、注意障害(Attention Disorder;AD)や左半側視空間無視(Unilateral Spatial Neglect;USN)等を合併しやすく、その場合、単一障害より重複障害の方がリハアプローチに難渋する。そこで今回、ADのみを合併する患者群(AD群)とADとUSNを合併する患者群(USN群)において注意機能とUSNにおける障害特性に関して横断的に検討した。
【対象と方法】
八反丸病院に入院しリハを実施した右大脳半球損傷患者9例をAD群4例とUSN群5例の2群に分類しClinical Assessment for Attention(CAT)の下位検査項目で聴覚性検査であるAuditory Detection Task(ADT)とPaced Auditory Serial Addition Test(PASAT)を用いて比較した。なお、認知症や意識障害等を合併したものは除外した。
【結果と考察】
1.ADTの正答率を比較するとAD群89.5±9.1%、USN群60±29.5%、また的中率はAD群58.3±26%、USN群34.8±15.6%といずれもUSN群が低下していた。さらにfalse negative(fn;ターゲット音に反応しなかった誤り)はAD群6±4.3個、USN群が11.8±15.3個、false positive(fp;ターゲット音以外の音に反応した誤り)はAD群43±34.8個、USN群が89.8±60.5個とそれぞれUSN群の誤反応数が共に多かった。
2.PASATの正答率を比較すると2秒用はAD群11.7±1.5%、USN群9.1±7.5%、1秒用はAD群21.7±18.3%、USN群7±5.3%といずれもUSN群が低値を示した。
 加藤(1995)は、注意の聴覚性検査であるADTにおいてADのみを合併する患者群とADとUSNを合併する患者群を比較すると、ADとUSNを合併する患者群において明らかに誤反応数が増加することを報告しており、今回のADTのfnとfpの結果とも合致していた。
 また近年、砂原(2005)らはUSN患者において聴覚性課題で障害が認められたという報告をしており、さらにMyers(1999)は、USNは視覚において最も観察されるが聴覚、触覚、臭覚、視覚の各モダリティにおいても起こりうると報告しており、今回の聴覚性検査であるADTおよびPASATの結果とも合致していた。
 これらの結果より、注意障害が基盤にある患者が左半側視空間無視を合併すると、視覚性検査のみでなく、ADTやPASATのような聴覚性注意検査も重度化することがわかった。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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