九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 28
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NICUでの療育支援報告
*武田 真樹加藤 和恵藤井 満由美
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キーワード: NICU, 療育支援, 理学療法士
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抄録

【はじめに】
当センターは、県内新生児医療基幹施設のNICU(以下:NICU)にて療育支援を行っている。この取り組みは様々な経過を経て継続されており、今回は過去3年間の支援状況や、その効果について私見も交え報告する。
【目的】
NICUと療育施設の連携強化・ハイリスク新生児の両親と我々の関係づくり・NICUでの療育支援によるハイリスク新生児とその両親のQOL向上が目的である。
【方法】
週1回、NICUに理学療法士1名を派遣している。時間帯は午後2時から2~3時間程度で、対象児1名につき約30分間、両親・NICU職員(以下:職員)に助言や指導を行う。
【内容】
主な支援内容は以下の通りである。
1.NICU内の環境調整(光や音等)
2.保育器及びコットでのポジショニング指導
3.初期の母子関係を築くための育児指導
4.哺乳・呼吸機能改善の指導
5.児の身体探索等、初期の運動学習の指導
その他、職員に対する研修会や両親向け資料の作成を行った。また、長期入院している児に、退院へ向けた福祉制度の紹介や利用(補装具作製等)を支援した。
【経過と実績】
当初はNICUのみでの実施だったが、近年は、施設内の小児科病棟・外来(以下:小児科)からも依頼が増え実施している。実績は以下の通りである。
平成17年NICUは19症例で延108件実施。重症度内訳は軽症疾患11、重症疾患8。小児科は延69件実施。
平成18年NICUは21症例で延135件実施。重症度内訳は軽症疾患6、重症疾患15。小児科は延78件実施。
平成19年NICUは13症例で延87件実施。重症度内訳は軽症疾患1、重症疾患12。小児科は延136件実施。
※軽症疾患:重篤な脳病変・奇形・呼吸障害等無い症例
※重症疾患:重篤な脳病変・奇形・呼吸障害等有る症例
【考察】
実績より、症例は軽症疾患より重症疾患の割合が増えている。これは、我々の助言が職員へ定着し、軽症疾患に必要な環境調整・ポジショニングが自主的に行われるようになり、我々に対する依頼が重症疾患の持つ呼吸・摂食等のより専門的な課題へ移行したためと考えられる。その他として、小児科での実施件数が増加している。これは、NICUでの取り組みが施設内の関連部署に認知されたことが影響したと考えられる。このことは、NICUを退院後に疾病で再入院した児や長期入院で療育施設への通院が滞っている児への療育支援を可能にしている。また、平成17年より当センターがNICUと同市内に開設したのを契機に、NICUを退院し在宅生活へ移行したが医療的・社会的理由により療育施設へ通院できない児を、訪問リハビリテーションや福祉事業で支援する体制が作られている。
今後も、NICUとその関連施設で療育支援を継続することによって、ハイリスク新生児とその両親のQOL向上に寄与できると考える。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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