九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 3
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高次脳機能障害者(注意障害)の在宅単身生活復帰への福祉施設の取組み
~福祉リハビリテーション計画書を活用した家族を含めたケース会議~
*児玉 徹
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抄録

【はじめに】
高次機能障害者が社会復帰するためにはかなりの時間が必要である。しかし、現在の医療制度は、短期集中型で、効果の改善予測を医師がすれば外来リハも可能ではあるが頻度・期間には限りがある。別府リハビリテーションセンター障害者支援施設にじ(以下、にじ)では、自立支援法の新体系に移行し、65歳以下の障害者手帳を取得した方々に対し、社会復帰を目的とした自立訓練(機能訓練、生活訓練)を提供している。今回、発症から10ヶ月経過した高次脳機能障害者の単身生活復帰に福祉施設として15ヶ月間関わり、長下肢装具作成・歩行訓練・外出訓練・買い物訓練・パソコン訓練・注意力改善訓練・社会適応訓練・家屋訪問調査等の様々なアプローチを行った。家族を含めてのケース会議も定期的に行い、アパートでの単身生活が可能となったケースを通じ高次脳障害者へのアプローチ、反省点や今後の課題を報告する。
【症例紹介】
●障害名:脳梗塞による右上下肢機能全廃●年齢:36歳●性別:男性●利き手:修正右利き●現病歴:H18年5月上旬頭痛、意識朦朧で発症。5月中旬N病院にて肺結核、結核性髄膜炎、感染性血栓による脳梗塞の診断。脳溝部と脳内に結節性病変。意識レベル低下。8月頃より意識レベル改善。H19年2月中旬、車椅子レベルでのADLはほぼ自立で、にじに転院となる。●デマンド:屋外歩行、単身生活、就職希望●入所時→退所時:WAIS-R81点→85点。FIM111点→117点。握力右4kg左33kg→22kg左35kg。上下肢麻痺重度→重度。平行棒内歩行可能。車椅子にてADL自立レベル→長下肢装具とT杖にて屋外自立レベル。右車椅子ブレーキのかけ忘れあり。→車椅子不使用、右側の注意障害軽減。
【アプローチ】
●福祉リハビリテーション計画書(造語。以下、計画書)を作成し、3ヶ月毎に、本人・家族・担当者でケース会議を行い目標の確認とプログラムの修正・提供を繰り返し行う。●歩行訓練:長下肢装具→短下肢装具→長下肢装具で屋外自立。歩行を通じ、右側の注意を促す。●農園芸リハでは作業能力向上に開始するもトラブルで中止●グループワークで障害への気づきを。●外出訓練:バスを利用しての駅までの買い物では、時間と安全面への注意と遂行機能改善を。●障害者スポーツでは、ボールや右半側への集中力アップを。●家屋訪問調査は、通所練習と買い物へのアプローチ確認。
【今後の課題】
就職に向けての、障害者職業センターを活用し、評価とジョブコーチ依頼を行う。注意障害は継続支援が必要。
【まとめ】
理学療法士として高次脳機能障害にアプローチをおこなった。身体能力評価だけで無く、作業能力評価や記憶能力評価、就労へのアプローチなど不十分であった。他職種と連携し、質の高い支援を確立したい。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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