九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 30
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Hart Walkerの可能性に関する一考察
座位・立位能力と予後予測との関連性から
*田中 亮岸 良至木下 義博高橋 知義山下 雅代園田  かおり山下 直子伊藤  雄
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抄録

【目的】
粗大運動能力分類システム(GMFCS)でも示されているように、脳性まひ児の歩行や移動には歩行器や車椅子などの移動補助具が必要となる事が多い。使用する移動補助具は、姿勢保持能力や上肢・下肢の運動能力、認知や学習などの知的能力などにより決定される。今回、Hart Walker(以下HW)における適応条件や可能性を検討するため、座位・立位能力と歩行範囲を評価し、歩行予後との関連性を考察した。
【対象】
対象は福岡県及びその近郊でHWを使用している脳性まひ児31名(男児18名、女児13名)。HW装着時平均年齢は5歳7ヶ月±3歳3ヶ月(平均±SD)であった。タイプ分類は痙直型両まひ11名、痙直型四肢まひ12名、アテトーゼ型4名、低緊張型4名であった。
【方法】
座位能力評価は股・膝関節90度屈曲位で殿部・足底に支持面をおいたベンチ座位にて、介助を必要としない姿勢保持の可否を評価した。立位能力はHW装着での頭部・体幹の垂直かつ対称的な保持(以下HWでの垂直立位)の可否を評価した。それぞれ上肢の挙上に際し、姿勢が大きくが崩れないことを条件とした。また、立位能力では頭部や体幹の支持を助けるオプションの使用がないことを条件とした。歩行範囲は最低3m以上の歩行の可否を、初回装着時及び装着半年後に評価した。歩行条件は室内平面とした。ベンチ座位・HWでの垂直立位ともに可能な児のグループをA群、ベンチ座位は不可能であるが、HWでの垂直立位が可能な児のグループをB群、ベンチ座位・HWでの垂直立位ともに不可能な児のグループをC群とし、各群の歩行範囲の変化との関連を調査した。対象児のHW装着及び調整は同一スタッフにより行われている。
【結果】
座位・立位能力の評価の結果からA群12名、B群9名、C群10名に分類された。初回装着時に最低3m以上の歩行可能はA群8名、B群2名、C群0名であった。装着半年後ではA群・B群において3m以上の歩行可能な児が増加した。
【考察】
今回の結果から、HWでの垂直立位が可能な児において、初回装着時には3m以上の歩行が困難でも、装着半年後に可能となることが認められた。歩行のために一定期間を必要とすることは、HWでの歩行のために新しい運動の学習や筋力・持久力などの向上が必要であることを示していると思われるが、頭部・体幹の抗重力位での支持性はHWにおける適応や歩行予後に影響する1つの要素であると考えられた。しかし、対称的な立位保持が困難でも、頭部や体幹のサポートオプションの使用により、対称性や体重移動を獲得する児も多い。そのような児も、自力でステップが可能になっており、HWの可能性を暗示していると我々は考えている。今後もHWにおける適応条件や可能性を検討し、子ども達の生活体験を豊かにする援助を行っていきたいと考える。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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