九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 41
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~大腿骨骨幹部開放骨折に対するSling Exercise Therapyの効果~
*岸本 稔長福 武志南野 大佑
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抄録

【はじめに】
今回、大腿骨骨幹部開放骨折術後、著明な跛行が残存する患者に対してSling Exercise Therapy(以下SET)を試みた。患者は開放骨折により筋自体に損傷を受けており筋骨格系に対するSETの効果が期待できると考え、3週間のトライアルを行った。訓練効果を重心動揺計および表面筋電計にて評価・検討したので以下に報告する。
【方法】
対象は男性26歳、左大腿骨骨幹部開放骨折(術後)を主疾患とする外傷性多発骨折患者。評価および訓練期間は3週間(平成20年2月25日~平成20年3月15日)とし週1回、計3回の評価を行った。訓練方法はSETを用い、背臥位・腹臥位にて体幹・下肢の安定化訓練および立位でのハ゛ランス訓練を施行した。訓練効果を測るための評価は、股関節・膝関節を30度屈曲した立位姿勢を保持させ訓練施行前に下記の検査1.2を行った。
1.下肢荷重検査(下肢荷重計GS-31P アニマ株式会社制)を施行し左右の下肢荷重比率を測定。
2.表面筋電計(terementer 日本光電社)にて今回の受傷により損傷を受けた左大腿直筋の電位を記録し、%MVC(% Maximal Voluntary Contraction)を用い正規化した。
【結果】
結果1.下肢荷重比率の変化がみられた。1週ごとの検査で左下肢の荷重比率は40.6%→42.9%→47.2%と増加、右下肢の荷重比率は59.4%→57.1%→52.8%と減少した。
結果2.%MVCの変化がみられた。1週ごとの検査で左大腿直筋の%MVCは65.0%→59.2%→48.8%と減少した。
【考察】
今回、筋骨格系に対するSETを大腿骨骨幹部開放骨折術後患者に施行し効果判定を行った。結果より、下肢荷重比率の左右差は減少し、患側下肢での荷重が可能になった。また、大腿直筋の%MVCは低下し同一姿勢を保持する為に必要な筋活動効率が向上したと思われる。
SETの特徴として考えられるのは、ハンキ゛ンク゛ホ゜イント・サスヘ゜ンションホ゜イントを調整する事やエラスチックコート゛を使用することで運動負荷を自在にコントロールし、閉運動が可能である事があげられる。従来より閉運動の有効性は多々謳われており、SETを用いることで早期に且つ最適な運動負荷で閉運動を患者に提供することが出来る。今回のトライアルでは再骨折のリスクを十分に加味し効果的な運動療法を提供できたと思われる。
【おわりに】
 大腿骨骨幹部開放骨折術後患者に対してSETを施行し、上記のような訓練効果を得ることができた。今後も多種多様な症例に対してSETを利用した運動療法を提供し研鑽していきたいと思う。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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