九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 44
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変形性膝関節症に対するアプローチ
筋膜ラインを考慮し階段降段動作獲得を目指して
*徳田 一貫阿南 雅也菅川 祥枝城内 若菜竹本 恵子田村 裕昭川嶌 眞人
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抄録

【はじめに】
変形性膝関節症のアプローチとして膝関節機能改善に加え日常生活における問題点から身体機能改善と動作改善に対するアプローチが重要であると考える。今回、主訴として階段降段時に膝痛がある症例に対し、降段時の身体制御に着目した。Deep Front Lineの筋膜ラインを適切に発揮できず、股関節-体幹正中位に保持できないため、股関節内旋-下腿外旋の膝圧縮回旋ストレスが加わったと考えアプローチを行った。結果、動作改善がみられ疼痛消失した症例を以下に報告する。
【症例紹介】
症例は70歳代女性。身長156cm、体重63kg、BMI25。診断名は左膝半月板損傷、左変形性膝関節症。現病歴は平成19年12月初旬、特に誘因なく立ち上がり、階段降段時に疼痛出現。平成20年1月に入院となり、関節鏡視下半月板切除術施行。既往歴は、虫垂炎(10歳代)。X線所見はKellgren-Lawrence分類gradeII。手術所見は内側半月板後角横断裂・後節水平断裂あり。損傷部位を形成的に切除する。職業は農業。
【術前評価】
疼痛は立ち上がり時・階段降段時に膝内側痛あり。ROMは左膝関節屈曲145°、伸展0°。筋機能(Rt/Lt)は腸腰筋4+/4+、大殿筋4/3+、内転筋4+/4、体幹屈曲4 、回旋4/3+。立位姿勢は、右肩甲骨挙上、体幹左側屈・左回旋、骨盤左挙上・左回旋、左大腿内旋・下腿外旋、距骨下関節回外、前足部回内位。階段降段動作は、左骨盤挙上・体幹左側屈・股関節内旋し左下肢を持ち上げる。立脚時は上肢の運動参加がなく体幹左側屈・左回旋、上半身重心右側変位し、股関節外転・内旋、下腿外旋、距骨下関節回外させ足部内側に荷重する。
【臨床推論】
降段時の身体制御として、体幹深層筋-腸腰筋-内転筋群機能低下により、代償として肋間筋-腹斜筋-大腿筋膜張筋-長短腓骨筋ラインの緊張を高め左下肢を引き上げるため、体幹左側屈、左骨盤挙上、大腿内旋、下腿外旋させたまま立脚する。骨盤帯-胸郭が左側屈する事で上半身重心が右側へ移動する。それに伴い右肩甲骨を挙上させ上肢の運動参加低下により上部体幹の剛性を高め、胸郭の柔軟性低下を招いた。上半身重心右側変位することで膝外反モーメントを強め、股関節内旋-下腿外旋し、距骨下関節回外による足部内側荷重により、膝内側の圧縮回旋ストレスが疼痛の誘因であると推察した。
【アプローチ】
1. 膝関節機能改善 2.足部機能改善練習 3.身体正中位での重心下降練習 4.胸郭可動性練習 5.上肢の運動参加練習
【結果】
疼痛は消失。筋機能は、股関節・体幹深層筋機能向上した。降段動作は、股関節-体幹正中位保持にて立脚可能。結果、上肢の運動参加みられ上半身重心が膝関節へ近づき大腿内旋-下腿外旋が軽減した。
【まとめ】
変形性膝関節症に対するアプローチとして、疼痛の原因を追究し生活機能を含めた身体機能改善を目指しアプローチすることが重要である。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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