九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 45
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人工膝関節全置換術後の膝関節可動域
膝関節可動域の時系列的変化の検討
*比嘉 千亜希安里 英樹島袋 豪仲地 愛美古堅 貞則
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抄録

【対象】
 2005年5月から2007年5月までに当院で人工膝関節全置換術(TKA)を施行した計20例中、術後1年(48週)経過し、膝関節自動可動域を計測し得た14例17膝であった。内訳は、男3例3膝、女 11例14膝、手術時平均年齢78.5(55~86)歳、全例で経過観察期間は48週であった。
【方法】
 TKA後の膝関節自動伸展・屈曲可動域を術後8週までは毎週計測し、それ以降は、4週毎に計測した。各時期のリハビリテーション実施回数(RH回数)も併せて調査した。
 当院の膝関節目標自動可動域の達成時期とリハビリテーションの継続期間について文献的検討を行った。
【結果】
 術前平均伸展/屈曲可動域は、-6.3°/104°であった。
 術後平均伸展/屈曲可動域は、3週で-7.9°/103°、6週では-5.5°/111°、8週では-4.7°/109°、48週では-3.2°/116°であった。
 平均RH回数は、術後7週まで5日(20単位) /週(4単位/日)であった。
【考察】
 当院TKA後の目標可動域については、福井らは「屈曲拘縮があると、歩行・階段昇降能力の低下をきたす」と述べ、Harnerらは「10°以上の膝伸展制限を認めるか、膝屈曲角度125°以下の症例に対しては、日常生活動作上機能障害を訴えることが多くなる」と報告している。
 また、Kettelkampは「膝関節動作で椅子から立ち上がるのに屈曲100°必要」と述べ、これを基に当院TKA後の可動域は伸展-5°、屈曲110°以上を目標としリハビリテーションを行った。
 本症例で目標可動域は、伸展-5°は術後8週、屈曲110°は術後6週で達成できた。その後、術後48週まで伸展可動域は変化を認めなかったが、屈曲可動域は軽度増加を認めた。
 児嶋らは、「術後2週までに術前屈曲角度に近い可動域を獲得することが、良好な関節可動域の獲得に繋がる」と述べ、本症例では、術後3週にてとほぼ術前の可動域に達し、最終的に目標可動域を獲得することができた。また坂本らは、「術後3週では、術後の軟部組織の修復過程において切離組織の再癒着が完成する時期であり、TKA後の最終屈曲獲得角度と術後3週時点の角度の相関が最も強かった」と述べていることから、術後3週までに十分な可動域の獲得が重要であると考えられた。
 本症例において、目標到達時期以降、伸展可動域は変化を認めなかった。屈曲可動域は平均RH回数が減少しているにもかかわらず、その後も緩やかな関節可動域の増加が認められた。その理由として、目標可動域獲得後、日常生活動作における活動性の増加が関節可動域の増加を招いたのではないかと考えた。よって、早期に目標可動域を獲得させ日常生活活動を改善させることは可動域の維持のみだけでなく増加にも繋がるため、術後3週までのRH回数は重要であると考える。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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