九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 6
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地域生活援助におけるADL評価
FIMとAMPSの関係に着目して
*松野 豊永田 敬生鹿子 供宏新川 寿子奈良 進弘中原 公宏
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キーワード: 成人中枢神経, ADL, 評価
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抄録

【目的】
脳卒中患者のリハビリテーションで使用頻度の高いADL評価の一つに機能的自立度評価表(以下FIM)がある。このFIMは病初期の機能回復過程をよく反映するものの、地域生活に移行する段階での活動介助状態を評価する際には、評定段階が粗く評価が不十分な項目を認める。我々は、系統的に機能、活動と参加についても評価を行い、より効率的なリハビリテーション効果の検討を多面的に行っている。今回は、退院直前のFIMとAssessment of Motor and Process skill(以下AMPS)の得点を用い、地域生活援助における日常生活活動(以下ADL)評価のあり方について比較検討をおこなった。
【対象】
脳血管障害を中心とした初発例の中で、早期から作業療法が開始された発症3週目でAMPS実施が可能な例を対象とし、研究に関する説明を理解したうえで、研究参加に同意いただいた症例を対象とした(男性11名:女性5名、年齢平均68.6±11.1歳、入院日数平均100±96.2日、脳梗塞5名:脳出血5名:脳血栓5名:その他1名)。
【方法】
AMPSとFIM等の評価を発症3週間目と3ヶ月目と6ヶ月目および退院1週間前に実施し、その中から退院1週間前の評価結果について分析を行った。FIMとAMPSのmotor skill(以下MS)とprocess skill(以下PS)についての相関を検討(Spearman順位相関)するとともに基準得点を基にした群間での比較を行った。
【結果】
対象者の Brunnstrom stage 平均は、上肢:5.3±1.1、手指:5.3±1.0、下肢:5.2±0.7と運動機能回復は良好であり、Mini-mental state examination (以下MMSE):21.8±6.7点となった。FIM、MS、PSおよびMMSEの間には、MMSEとMS以外の全てにおいて相関を認めた(P>0.01)。FIMの合計得点115点以上を自立群と仮称すると、自立群(n=10)のAMPS 平均は、MS:1.8±0.6logits、PS:1.7±0.4logitsであり、社会生活自立の目安となるカットオフ得点をPSは上回っているが、MSでは下回っていた。このFIM自立群の中で、脊髄損傷の既往を持つ1例と失調症状を呈する2例においては、MS得点の著明な低下を認めた。
【考察】
FIMとAMPSの得点間には相関が認められており、この結果は両者が類似した評価であることを示唆するものと考えられた。しかしながら、失調症状や脊髄性障害を伴う例では、FIMでの自立との判断とは異なるAMPSの結果が得られ、これはFIMが基本的ADLを評価し、一方AMPSは日常生活関連動作(以下IADL)を中心とした実際的な生活の遂行状況を評価するという特性が表われたためと考えられ、これらの事から複雑な症例の社会生活支援への評価においてはOT的視点も必要であることが示唆された。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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