九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 75
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自宅復帰における施設環境の必要性
~地域における安全な施設について~
*宇都 卓也
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キーワード: 自宅, 施設, 改修
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抄録

【はじめに】
現在の医療・福祉現場では、早期退院・退所を進めている。また、退院・退所を進めるものの、受け皿となる病院・施設が少なく、入院・入所が困難となっている。そこで本人の社会復帰を推進し、家族の介護負担を軽減する為に、デイケア・デイサービス・小規模多機能ホーム等の利用が必要不可欠となる。その施設で利用者が安全に過ごせ、家族は安心して利用者を送り出す為に、施設の内装は重要な決め手となる。その中で今回、当院施設の事故等のあった「玄関」を改修し、事故を軽減することが出来たので、ここに報告する。
【対象】
1.場所:当院小規模多機能ホーム 
2.平均利用者数:13~15名 
3.平均介護度 :要介護2.4 
4.平均年齢 :87歳 
5.平均HDS-R :10点/30点 
6.利用者歩行能力:独歩・杖・車椅子
【方法・結果】
当院施設利用者の利用者データを平均し、重度の利用者と軽度な利用者の状況を参考とし、椅子高さ・腰壁・スロープ・手すり等の設計を行う。その際、同施設スタッフと意見交換を実施。
結果については、改修前年度(H18年度)と改修後年度(H19年度)の事故状況・件数を比較。18年度では手関節等のアクシデント1件・転倒・転落に及ばないインシデント3件であったものの、H19年度では1件もインシデント・アクシデントは起こっていない。
【まとめ】
近年、医療費削減を目的に、入院・入所期間の短縮や、リハビリテーションの期限などが設定されており、高齢者や家族の負担が増加している。その中で高齢者のQOLを向上し、家族の介護負担を軽減する為に、諸サービスや小規模多機能ホーム等を利用する必要がある。その施設で利用者が怪我をしたら家族はどう思うでしょうか。そこで利用者が安全で、家族も安心して送り出せるように施設の「バリアフリー化」「ユニバーサルデザイン化」を図る必要があり、今回は「玄関」の小さな改修でしたが、それだけでインシデント・アクシデントを減少させるに至りました。この事から、インシデント・アクシデントは、スタッフ数等のマンパワーだけでなく、施設の構造や内装など、身近な所に原因はあり、そこに少し改修を行うことで、事故を未然に防ぐ事は可能だと考えます。
PT・OTは利用者を自宅復帰させる事も大切な役割だが、積極的に自宅や施設などの社会環境にも関わる事が必要なのではと考えられた。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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