九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
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脳卒中急性期例におけるCI療法
*工藤 理沙野間 俊司伊東山 洋一
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抄録

【はじめに】
脳卒中における麻痺側上肢の機能回復法として近年、道免らによってCI療法が紹介され回復期のみならず維持期の症例でも効果をあげている。そこで今回、脳卒中急性期の重症例に対してCI療法を行ったところ効果が得られたため報告する。
【対象】
H19.5からH20.1までに脳梗塞・脳出血により片麻痺を呈した5例とした。内訳は、脳梗塞3例、脳出血2例(右片麻痺3例、左片麻痺2例、年齢67±5.4歳、男3例、女2例)、発症から導入までの日数は8日から24日(平均16.3±8.3日)、CI療法導入時のBr.s(上肢-手指)は、症例1(II-I)症例2(III-II)症例3(III-III)症例4・症例5(III-IV)である。
【方法】
ペグ、積み木等の物品を組合せて1日2時間、平均19±5.4日間施行した。効果判定として肩の随意性と一部の症例はペグ10本の移動時間を測定した。
【結果】
肩の随意性は、症例1:屈曲0°→50°外転10°→60°症例2:屈曲30°→100°外転40°→110°症例3:屈曲40°→180°外転90°→180°症例4:屈曲30°→90°外転45°→100°症例5:屈曲50°→140°外転60°→150°となり屈曲は、27.8%~77.8%(平均45.6±15.9%)外転は、19.4%~50%(平均39.5±8.4%)向上した。ペグ操作時間は、症例1・症例2:操作不能 症例3:操作不能→60秒 症例4:118秒→20秒 症例5:76秒→23秒 時間短縮した。
【考察】
道免らは、CI療法を手関節20°手指10°以上屈伸する例を対象に1日6時間・2週間継続して行うとしているが、急性期重症例でも発症早期より1日2時間実施したところ全例で随意性・物品操作性の向上がみられた。Taubは、脳が運動学習を繰り返すほど支配領域を拡大する可塑性を持ち、使用しなければその支配領域が減少する皮質レベルの廃用が起こる事を実験により示唆している。効果がみられた理由としては、動作を繰返す事で運動学習が脳の可塑性を促進し、早期の実施により皮質レベルの廃用と麻痺側上肢の廃用性筋力低下を防いだ事が回復に繋がったと考える。更に行う動作を声に出させながら行った事も効果があったのではないか。重症例ではFIMでの向上は少ないが、全例、日常生活で麻痺側上肢を使用する頻度が増し、その中でも2例は箸を使用するまでに回復した。麻痺側上肢の回復を促したのは自然回復の影響が大きいが、CI療法を導入した事で早期に症例の持つ最大の随意性を引き出す事が出来たのではないか。今後も脳卒中急性期例を通して、重症例へのCI療法の適応や効果の持続性を検討すると共に麻痺側上肢の実用性向上を図っていきたい。最後にCI療法を行い麻痺側上肢の回復過程を見ていく中で、Brunnstromの述べているような経過を辿った例は1例も無かった事を追記しておく。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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