九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 23
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大腿骨転子部骨折術後における平行棒内歩行開始時期について
インタータンとガンマネイルの術式の違い
*村上 雅哉福田 文雄
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抄録

【はじめに】
当院における大腿骨転子部骨折の不安定型骨折に対して、骨接合術としてガンマネイルが用いられてきた.2009年秋より新機種であるインタータンが導入された.この機種は2本のスクリューによって術中に骨折部に圧迫をかけることが可能である.骨折部に圧迫をかけることによって骨折部が安定化し、早期に疼痛が軽減するのではないかと仮説をたてた.
【目的】
理学療法を実施するにあたり機種の違いにより歩行開始時期に違いがあるか否かを明らかにすることである.<BR >【対象・方法】
当院入院し今回の研究にあたり同意を得た大腿骨転子部骨折患者14名(インタータン7名・ガンマネイル7名)、男性4名・女性10名、平均年齢82.3±8.4歳、改訂長谷川式簡易知能スケールは平均15点、いずれも受傷前は歩行可能な患者を対象とした.術後の後療法は、翌日から痛みに応じて離床・荷重可能であった.平行棒内歩行開始時期においては、疼痛が自制内に可能になった時期に平行棒内歩行を開始し、術後からの日数を算定した.これらの術式においてWilcoxonの検定により比較し有意水準は5%未満とした. <BR >【結果】
インタータン実施患者の平行棒内開始時期は3.2±0.9日、ガンマネイル実施患者の平行棒内開始時期は3.4±1.4日であった.これらの術式において平行棒内歩行開始時期に有意な相関は認められなかった.
【考察】
高齢者の術後リハビリテーションにおいて、可能な限り早期に離床を促し、廃用症候群を予防することが重要である.しかし、離床・荷重・平行棒内での運動を開始するにあたっての阻害因子として疼痛が挙げられる.特に平行棒内歩行を開始する時期において難渋する場合が多く疼痛が強ければなかなか開始することが困難である.インタータンは術中に骨折部に圧迫をかけ早期に疼痛が軽減し、平行棒内歩行開始が早まるのではと考えたが、今回の結果からはインタータンはガンマネイルと比較して術後理学療法において平行棒内歩行開始時期を早めることはできなかった.

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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