九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 111
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当院回復期リハビリテーション病棟における自宅復帰とFIMの動向
*上川 健悟濱中 希
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キーワード: 脳卒中, 自宅復帰, FIM
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抄録

【はじめに】
 当院は平成20年8月より回復期リハビリテーション病棟(回復期リハ病棟)2を開設し,平成21年2月より回復期リハ病棟1となり1年半が経過した.当院回復期リハ病棟患者の内訳は約82%が脳卒中で,約70%は,同一法人である北九州総合病院脳卒中センターから地域連携パス(以下、パス)を通じた紹介入院である。
 今回,当院回復期リハ病棟脳卒中患者のFunctional Independence Measure指数(FIM)改善及び自宅復帰との関係に若干の知見を得たのでここに報告する.
【目的】
 北九州総合病院脳卒中センターからパスを利用した患者の当院入院時FIMと退院時のFIMについて、改善や転帰に関連性があるか調査する.
【方法】
 パスを利用しH21年2月~H22年1月に入院した157名の脳卒中患者を対象とした.(死亡及び状態悪化した8名は除く)
 年齢72.3±12.3歳で,発症から当院入院までの期間31.0±15.2日,当院入院期間87.3±45.6日,当院入院時FIM74.4±35.5点と,退院時のFIM88.7±35.5点を調査した.
・入院FIMを18~53点群を重度介助群,54~89点群を中等度介助群,90点以上を軽度介助群の3群間に分けて独立多群の差の検定を行なった.
・当院からの退院先が自宅復帰群と非自宅復帰群の2群に分け,FIMの相関の有無についてχ2検定で比較した.更にアウトカムに関わる因子として,当院入院時と退院時のFIMを用いて,ROC分析にてカットオフ値を検出した.
【結果】
・FIM改善として,重度介助群は13.4±18.8点,中等度介助群は23.9±13.8点,重度介助群は7.2±7.3点
 上記を基に独立多群の差の検定を行った結果,中等度介助群のFIM改善が有意に高かった.
・転帰に影響が出るFIMのカットオフ値は入院時FIM67点,退院時FIM93点であった.
【考察】
 当院回復期リハ病棟に入院した患者のうち中等度介助群が有意に改善している背景としては,重度介助群は意識障害を伴う方が多く改善が期待しにくいこと,軽度介助群は入院期間が短い傾向にあることが考えられる.
 FIMにより転帰に変化があり,当院では入院時に67点以上あれば積極的に自宅復帰を考える必要がある.更に退院時93点以上であればこちらも自宅復帰を第一選択として回診及びカンファレンス等で考える必要がある.
 今回のデータでは,発症から当院入院までの日数,FIM改善と在院日数には相関が見られなかった.今後は,施行単位数やFIMの下位項目で詳しく分析し,予後予測の指標となる分析を進めて行きたい.
【まとめ】
 パスを利用して、当院回復期リハ病棟に入院する脳卒中患者の特徴は,入院時FIMの内訳で中等度介助群の改善が有意に高い.
 入院時FIMが67点以上だと自宅復帰の可能性が高い.
 退院時FIMが93点以上だと自宅復帰の可能性が高い.

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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