九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 312
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理学療法学科学生のこころの知能指数
~5年間の経過~
*松崎 哲治河元 岩男明日 徹田中 裕二松岡 美紀木村 孝熊丸 真理山下 慶三花田 穂積松木 直人峰岡 哲哉牧井 昭憲齊藤 貴文宇戸 友樹
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抄録

【はじめに】
1995年より全米各地の学校が「EQ(emotional intelligence)~こころの知能指数」を数学や国語と同じような必修科目として教える方向にある。また近年、企業も採用試験や職員教育にEQテストを取り入れるようになってきた。当校においてもH17年春より毎年一回(最終学年は長期臨床実習終了後も)理学療法学科全学生にEQテストを実施している。今回、これまで開始から5年を経過したので、これまでのデータや、その間に起こった定員増などよる影響なども踏まえ報告する。
【研究手順・対象】
本研究は、内山らが開発した検査EQSを用い行った。対象は、当校に在籍している、全理学療法学科学生に行った。なお、H17・18・19・20・21・22年春に当校当学科在籍学生2139名に実施した。そして今回は、EQSの自己対応・他者対応・状況対応という3つの領域において、5年間の経過を追ったのでここに報告する。
【結果】
対象の当校に在籍している全理学療法学科学生2139名中、回答信頼性傾向(偏り)を判定する基準に引っかかった者及び統計学的手法により外れ値を示した者を除き1939名を分析の対象とした。この、1939名の対象者全体の平均値および標準偏差を求めると、自己対応51.04±10.05・対人対応51.94±9.63・状況対応42.99±10.69となった。その平均を、EQSマニュアルにある大学生226名の平均やその大学生226名内の専門・研究職を目指す大学生62名の平均より有意に高かった。そして、学年が増す毎に高くなる傾向があり、各年度による差や、定員増による差は見られなかった。
【考察及びまとめ】
今回、当校理学療法学科全学生にEQテストを5年間実施した。そして、当校の学生は、「自己の心の働きについて知り、行動を支え、効果的に行動をとる能力」が身についていると思われまた、「他者の感情に関する認知や共感をベースに、他者との人間関係を適切に維持することのできる能力」や「自己を取り巻く、あるいは自己と他者を含む集団を取り巻く状況の変化に耐える力、リーダーシップ、また自己対応領域と対人対応領域の各種能力や技量を状況に応じて適切に使い分ける統制力」にもおいても、専門学校に入学は高値を示すことが、他データからも伺えた。そして、学年が増す毎に高くなった。また、定員を増やしても、学校の取組によって影響がないことが、この数値からは伺えた。さらにデータを重ね、個人の経過や精神的健康(気分や感情)との関係、また外れ値を示した者の行動分析を行っていきたい。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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