九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 322
会議情報

当院におけるNSTの活動へのリハビリテーション部の関わり
ポジショニング講座の効果検証を交え
*松本 伸一坂本 知子丹生谷 優希岩永 健児坂井 綾子酒井 祥平秋山 謙太山中 健生
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キーワード: 褥瘡, NST, ポジショニング
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抄録

【はじめに 】
 当院ではNSTの活動が平成15年度から開始され、リハ部は運動機能・ADL動作能力、嚥下機能の評価などを通してNSTの中でチームの一員として貢献し、H21年度より院内の褥創委員会の活動・回診へも参加するようになった。中でも活動量が低くなっている症例では、日中の姿勢やギャッジアップの方法、クッションの使い方など、介助者により理解が様々で適切な除圧や食事の際の姿勢がとれているとはいえない様子が散見された。そこで今回、ポジショニング講座を2回開催し、1カ月後にアンケート調査を行い、理解度の調査と意識統一を図る試みを行った。
【実施方法】
 看護師・リハスタッフ・リハ助手・介護士など、患者様に接するスタッフを対象に、PT・OT・STの3部門でポジショニングの基礎知識・実践編・食事の際の姿勢の3編を2回に分けて開催し、#1ギャッジアップをする際、上半身のずれ落ちを予防するために下半身・上半身の順に行うこと、#2仙骨後面や踵部の除圧のために上下の角度の目安を20°とし、#3テンピュールやビーズクッションなど、目的により素材を使い分けることなどを今回の意識統一の項目として挙げ、重点的に指導し、1カ月後にアンケート調査を行い参加者・不参加者の点数を評価した。
【倫理的背景】
 調査は匿名とし、データにより個人情報が特定されないように行った。
【結果】
 講座後にアンケート調査を行い14点満点中、平均点は参加者(55人)が11.27点、不参加者(92人)は9.86点だった。その結果をt検定にて統計処理を行った結果、参加者と不参加者の間に有意な差がみられた(0.005>)。
【考察】
 当院における2~3年間の褥創発生箇所として、仙骨・尾骨などの骨盤帯や、踵骨、大転子など、一般的に多発している部位に多く発生していた。城井らによると、ギャッジアップの膝挙げ角度は30°や35°よりも、20°が有意に仙骨部局所圧が低値になり、過度の膝挙げ角度は仙骨部に負担がかかる可能性があるとしており、20°以下にしても踵部への圧が高まるため、統一項目#1~#3を簡易的な指標として重点的に指導した。
 回診に参加し、講座を開催し始めたことで院内でも適切なポジショニングを行えているケースが多くみられるようになってきており、徐々に日常のポジショニングの重要性が認識され始めている。また、講座後にアンケートを実施ししたことも再度意識を高めることに役立ったと考えられる。NSTの介入が必要な低栄養状態の症例や、整形外科的手術後に安静が必要な症例など、入院してから褥創を発生してしまう症例も多くみられるため、病棟スタッフとリハスタッフの連携を今まで以上に綿密にとっていく必要があると考える。
【最後に】
今後もNSTの活動を通して、呼吸障害への体位指導や病棟内での離床の指導などリハスタッフの特色を活かし、長く患者様と関わっていく病棟スタッフへの伝達講習行っていきたいと考える。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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