九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 34
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体圧および肢位変化が筋硬度に及ぼす影響
*河野 洋介川上 剛東 里美今島 弘喜紙屋 育美田口 光大西 芳輝
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キーワード: 体圧, 肢位変化, 筋硬度
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抄録

【はじめに】
Hirschberg、Lewisらは長期間の身体不活動に起因する2次的な障害を “廃用症候群”と報告している。その1例である関節拘縮の原因については多くの報告がなされており、筋硬結や筋緊張の影響が示唆されている。今回、治療台・体圧分散用具上における肢位(背臥位、側臥位)および体圧の変化と筋硬度との関係を調査し、若干の知見を得たのでここに報告する。なお、本研究はインフォームドコンセントの元、個人情報保護を含めた倫理的承認を得たものである。
【方法】
対象者は、重度脳血管障害患者16名(平均年齢80.9±11.4歳、日常生活自立度C2)。治療台(マットプラットホーム)および体圧分散用具上(イエルベン社製衛生マットレスウォーターリリー)にて体圧と筋硬度を測定。体圧測定にはCAPE社製PRESSURE SCANNING AID CELLO/CR270を使用し、測定部位は仙骨部および大転子部とした。筋硬度測定にはTRY-ALL社製NEUTONE TDM-N1を使用し、測定部位は膝蓋骨上縁5cmの左右大腿直筋部とした。測定肢位は背臥位(両側の肩峰を結ぶ線および両側の上前腸骨棘を結ぶ線が可能な限り体幹と垂直に設定)および側臥位(右側臥位にて両側の肩峰を結ぶ線が治療台および体圧分散用具へと可能な限り垂直に設定)とした。なお、測定環境は、仕切りにより視覚的遮断を行い、室内温度は25℃とした。体圧と筋硬度の比較には、それぞれ対応のあるt検定を用い、肢位別における体圧と筋硬度の関係については、ピアソンの相関係数を用い統計学的解析を行った。
【結果】
体圧の比較では有意差(P<0.01)がみられたものの、筋硬度の比較では有意差を認めなかった。さらに、治療台における肢位別の体圧と筋硬度の関係は、背臥位では有意な相関関係を認めず、側臥位においては、右大腿直筋はr=0.55(P<0.05)、左大腿直筋はr=0.53(P<0.05)であり、有意な正の相関関係を認めた。
【考察】
重度脳血管障害患者において、治療台と体圧分散用具における筋硬度に有意差が認められなかったものの、側臥位における体圧と筋硬度では有意な正の相関関係を認めた。神崎は、筋硬度は筋および組織に依存すると報告し、松本らは血管圧迫による循環障害が筋硬度上昇の一因としている。32mmHg以上の圧で動脈性毛細血管が閉塞し、血流が阻害されると言われているため、より圧のかかる側臥位では、血管圧迫による循環障害により筋硬度が増加したと考える。この結果、筋硬度は肢位変化と体圧変化に影響を受ける可能性が示唆された。今回の調査では、重度脳血管障害患者が対象であったため、肢位変化と筋硬度に対し、どの程度影響を及ぼしたかの確認までは困難であった。今後は責任病巣の関連についても考慮し、研究を進めていきたい。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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