九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 40
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糖尿病における夜間高血圧が合併症に及ぼす影響について
*田中 康明大崎 祐史田中 亮輔近藤 英明
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キーワード: 糖尿病, 夜間高血圧, ABPM
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抄録

【目的】
糖尿病は非糖尿病に比較して高血圧の頻度は1.5~3倍高いことが知られている。また、心大血管リハビリテーション対象症例では、糖尿病や高血圧等の動脈硬化性疾患の危険因子の合併が多い。糖尿病における高血圧の合併は心血管障害のリスクを高め、かつ糖尿病腎症の憎悪を促進させる。そこで今回24時間自由行動下血圧測定(ambulatory blood pressure monitoring:ABPM)を用いて糖尿病患者における24時間血圧変動の臨床上の意義を検討した。
【対象と方法】
糖尿病患者74例(男性43名,女性31名,平均年齢63.6±12.2歳)を対象とした。測定方法は、ホルター心電図(フクダ電子社製デジタルウォークFM-800)を使用し、血圧は午前7時から午後10時までは30分間隔で、午後10時から翌朝午前7時までは1時間間隔で左上腕にカフを装着しリバロッチ法により測定した。24時間血圧測定の結果より、(1)24時間平均値、(2)睡眠時平均値、(3)覚醒時平均値、(4)就寝前2時間平均値、(5)夜間最低血圧前後2時間の平均値、(6)起床前2時間平均値、(7)起床後2時間平均値の7項目を算出した。合併症は、糖尿病3大合併症である、網膜症、末梢神経障害、腎症、および動脈硬化性疾患で検討した。統計学的解析はPASW17.02を用いた。血圧と合併症との関連性はクロス集計を行いFisherの直接法によるχ2検定を行った。有意水準は0.05とした。
【結果】
昼間の血圧では正常と判断される例でも夜間高血圧は多く、夜間血圧を指標とすると56名(75.7%)の症例が高血圧と診断された。夜間の高血圧が認められるものでは、第2期以降の腎症の合併、および動脈硬化性疾患が多く認められた(腎症:P=0.046、動脈硬化性疾患:P=0.016)。糖尿病患者の58名(78.4%)がnon dipper typeであった。睡眠中の血圧変動と糖尿病の3大合併症において統計学的に有意な結果は得られなかった。動脈硬化性疾患との関連についても,有意な関連性は認めなかったが(p=0.054)、動脈硬化性疾患を有するものの多くはnon dipper typeであり、non dipperの1/3の患者が動脈硬化性疾患を有していた。
【結語】
糖尿病患者においては、夜間高血圧やnon dipper型が多く、これらの症例には糖尿病性合併症や動脈硬化性疾患の合併が多かった。糖尿病を有している症例に対するリハビリテーションでは、ABPMの結果より、動脈硬化性疾患や腎症など合併症の出現にも留意しつつアプローチする必要があると考えられる。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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