九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 42
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当老健における誤嚥性肺炎による退所者の傾向と発症予防の取り組み・効果について
*橋本 祐二猪野 嘉一
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キーワード: 誤嚥性肺炎, 予防, 老健
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抄録

【はじめに】
当老健から医療機関への退所理由を調査した所,誤嚥性肺炎による退所者(以下肺炎退所)が多い事が分かった.その為平成21年10月から誤嚥性肺炎予防に対して取り組み,若干の成果を得ることができたので,肺炎退所の傾向と取り組み・効果を含めここに報告する.
【対象と方法】
対象は(1)平成21年10月~平成22年3月末までの入所者139名(男性38,女性101,年齢81.7±10.4)と前年同月の平成20年10月~平成21年3月末までの入所者146名(男性36,女性110,年齢82.3±11.0).(2)平成20年10月~平成21年10月末までの肺炎退所24名(男性10,女性17,年齢82.9±8.7)と非発症の入所者145名(男性38,女性107,年齢82.4±10.9)とした.分析方法は(1)では各期間の肺炎退所数,年齢,入所日数,障害老人の日常生活自立度(以下障害自立度),認知症老人の日常生活自立度(以下認知症自立度),嚥下グレード(以下Gr)について,(2)では年齢を84歳以下(n=83)と85歳以上(n=86),入所日数を365日以内(n=73)と366日以上(n=96),障害自立度をJ~B1(n=106)とB2(n=63),認知症自立度をなし~_III_(n=117)と_IV_~M(n=52),Grを正常~軽度(n=98)と中等度~重度(n=71)の2群に分類して(1)(2)ともMann-Whitney 検定を用いて分析した.統計ソフトはSPSSver14.0Jを用い,有意水準5%にて検定した.
【結果】
(1)では肺炎退所数に有意差が見られたが,その他の項目に有意差は見られなかった.(2)では年齢を除く全ての2群間に有意差が見られた.
【考察】
(1)について肺炎退所数以外の項目の結果から,両期間における入所者の心身状態の偏りはなく,取り組みが肺炎退所の減少に影響したのではないかと考えられる.取り組みとしてSTやPT・OTによる食事評価,食事環境調整及び定着状況の継続的確認,職員間での現状共有,勉強会などを行った.(2)について入所日数が長くなると廃用などが進み,体力などの低下が肺炎退所に繋がったのではないかと考えられた.また基本動作能力が低下している要介護高齢者は摂食・嚥下障害の予備軍との報告がありB2群はそれに該当すると考えられ,廃用の進行防止,基本動作能力や活動量の維持・向上の重要性が示唆された.更に摂食・嚥下における先行期は食物の認知や摂食行動のプログラミングなどが行われる時期である.その為重度の認知症の場合,口腔・咽頭機能に障害が無くても肺炎発症に繋がった可能性が示唆され,認知機能に応じた食事環境の準備や調整が必要ではないかと考えられた.Gr中等度~重度は正常と軽度と比較して肺炎発症しやすいという判定の妥当性を支持する結果であった.

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