九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 47
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当院おける呼吸リハビリテーション教育入院の現状と課題
-継続・非継続の初期評価での因子-
*大平 美咲門司 映美鍋島 一樹塩貝 勇太深山 慶介ハーランド 泰代植野 拓中司 貴大澤田 芳雄角銅 しおり
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抄録

【目的】
包括的呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)における患者教育の重要性は広く認識され、効果も実証されつつある。しかし、呼吸器疾患に対するクリニカルパスは、さまざまなバリアンスがあるため困難なことが多く、慢性呼吸器疾患に対するクリニカルパスについての報告は少ない。今回、当院にて2週間の呼吸リハビリテーション教育入院を開始し初期評価での継続と非継続の因子の検討を行った。
【対象】
2008年2月~2009年12月に入院しインフォームドコンセントが得られた慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)患者(継続群10名68歳±14歳、非継続群11名 71歳±21歳)。
【方法】
入院期間の2週間で運動療法と多職種での包括的な患者教育を中心とした呼吸リハビリテーションクリニカルパス(以下、呼吸リハパス)を作成した。肺機能検査(肺活量、%肺活量 以下%VC、1秒率 以下FEV1.0%)、標準評価(MRCの息切れスケール、身体所見、BMI、横隔膜呼吸の熟達度grade)、ADL評価(千住らのADLテスト)、下肢筋力検査(等尺性膝伸展筋力)、運動耐容能検査(シャトルウォーキングテストまたは6分間歩行テスト)、セルフマネージメント検査(Lung information Needs Questionaire 以下LINQ)を多職種で検査・評価を行う。両群内において初期評価の各項目をそれぞれ比較した。解析方法はwilcoxon順位和検定を用い、p<0.05を優位水準とした。
【結果】
両群間において統計学的な有意差は認められなかった。継続群ではMRCスケールより呼吸困難は様々であったが下肢筋力は保たれておりLINQの点数は低くセルフマネージメントは高い傾向であった。非継続群ではFEV1.0%が低くMRCスケールは重症傾向でありLINQの点数は高くセルフマネージメントは低い傾向であった。
【結論】
継続群では呼吸困難は様々であったが身体機能・セルフマネージメントは比較的保たれていた。初期評価時に呼吸リハの教育を受けた経験がない症例が多く呼吸リハパス終了時の最終評価ではセルフマネージメントにおいて統計学上有意に向上した。非継続群ではLINQの点数よりセルフマネージメントに欠ける傾向がみられた。FEV1.0%が平均56%と低肺機能でありMRCスケール3以上、下肢筋力、運動耐容能が低く初期評価の介入で呼吸困難が増強し運動への動機づけが困難であり継続できなかったと思われる。COPDの呼吸リハは運動療法を主軸としたプログラムが有効であり患者教育も同様に必須条件である。今回の検討を通して同一疾患においても肺機能以外にも呼吸困難の程度や下肢筋力の個々の身体能力を評価し、現呼吸リハパスの適応と不適応を判別できる基準が分かった。パス適応ではない患者にはコンディショニングやADLを中心とした介入が必要であり個別性を重視した内容のプログラムと継続方法についての検討が必要である。また、個々に必要な患者教育を十分に行なっていくことが運動療法を進めていく上でも改めて重要であると感じた。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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