九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 139
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大腿骨頚部骨折・脳卒中リハビリテーションパスの導入
~チームアプローチの実践~
*金子 創一
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抄録

【はじめに】
 DPCの導入により、入院日数で診療点数の逓減が定められる。
また、回復期リハ病棟の開設に伴い、一般病棟から回復期リハ病棟への移行に関して、一般病棟におけるDPCの効率的算定と回復期リハ病棟における在宅復帰に対して、在院日数の短縮とリハビリテーションの質の向上が求められる。
 各スタッフが効果的なリハビリを実施していくには、短期目標の設定とPT・OT・STとの連携、そして病棟におけるADLの改善につなげるためのツールが必要と考えた。
 また、地域連携パスにおいて退院時の目標が設定されており、その目標に近づけるように各病院において努力しなければならない。個々のセラピストの能力や経験において退院の日数の差が少なくなるように、リハビリテーションパスの運用を開始した。
【目的】
1)早期退院に向けて、訓練内容と訓練開始時期を検討し、個々の達成目標や訓練目標をクリアしていくことで最終目標に到達できるようになる。各セラピストがスタンダードなリハを実践することが可能となることで、リハビリテーション科全体のレベルアップにつながる。
2)他職種でリハパスを記入することで患者のリハの進行状況を把握することができる。
3)病棟でのADL改善に向けての誘導、家族指導、カンファレンス、退院前訪問指導などの環境調整項目を記入することで、今後の目標設定を行いやすくなる。リハと病棟スタッフが協力してADLの改善に取り組むためのツールとして活用する。
4)MSWの介入時期や目的を設定することで介護保険の申請、区分変更の遅れによる退院の延期を少なくする。
5)退院時に退院状況、日常生活機能評価表、バリアンスを記入し、最終的な転機を記録することでリハパスの設定時期や効果の判定を行い、必要に応じてパスの内容を改訂し、より効果的なパスを作成する。
【実施方法】
1)基本情報の記入
2)訓練開始日、カンファ、家屋調査日等の記入
3)退院時の情報の記入及びデータ集計
【結果】
1)各セラピストが目標に向けての訓練の展開をスムーズに進行できるようになった。
2)MSW・CMと退院に向けての環境調整を早い段階から各セラピストが意識して取り組むようになった。
3)パスを記入することで訓練の進行状況を関係職種が共有することができるようになった。
4)データ集計により、より良いパスの改訂を実施でき、リハ科の方向性をスタッフへ反映することが可能となった。
【まとめ】
チームアプローチを実践していくためのツールとして今後も改良を重ね、リハビリテーションパスの運用を継続していきたいと考える。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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