九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
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慢性期片麻痺患者における上肢機能の改善と機能的脳画像の変化
*永田 誠一松野 ひとみ高嶋 幸男
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抄録

【目的】
近年、脳卒中片麻痺の上肢機能へのアプローチとその治療効果に関する報告が増えつつある。しかし、治療効果と脳の機能的再構成に関する報告はいまだ少ないことが現状である。機能障害評価に加えて、機能的脳画像を用いることにより、改善に伴う大脳皮質活動の傾向が把握できるものと考える。
【対象】
対象は、Aリハビリテーション病院に入院中または外来通院中の慢性期片麻痺患者22名で、内訳は、左片麻痺者9名、右片麻痺者13名、男性15名・女性7名で、平均年齢は59±9.3歳(42~79)であった。診断名は、脳出血17名・脳梗塞5名で、発症からの期間は、平均1250±688.8日(375~2595)であった。機能的アプローチは、3~6回/週の頻度にてマンツーマンで行い、1回の治療時間は40分間であった。治療内容は主に、徒手誘導を用いた軟部組織の伸張と促通手技の実施や物品操作を用いた課題指向的訓練であった。対象者の選択においては、個人情報の保護に十分配慮を行い、研究の主旨に同意が得られたケースのみを対象とした。また、研究に先立ち事前にB大学倫理委員会による審査を受け、承認を得た後に開始した。
【方法】
アプローチ中30日間の前後においてFugl-Meyer Assessment(以下、FMA)と光トポグラフィの評価を行った。光トポグラフィの計測は、日立メディコ社製ETG-4000を用いて、酸化ヘモグロビン濃度の相対的変化を記録した。計測課題は、肩関節90度屈曲運動の反復を自動運動もしくは自動介助運動にて1回/2秒間の割合で行うこととした。計測部位は、国際式10/20法により推定した一次運動野部とし、解析には、日立メディコ社製複数人加算解析ソフトを用いた。さらに、左右半球間の活動比率を示す左右差指数を算出した。
【結果】
FMAでは、上肢合計が平均40.5±14.9から45.1±13.4へと有意な改善を示した(p<0.01)ほか、肩/肘/前腕(p<0.01)、手、協調性/スピード(p<0.05)においても優位な改善を認めた。光トポグラフィにおいては、左右片麻痺群とも両側半球において酸化ヘモグロビン濃度の減少が見られ、左右差指数においては非傷害側半球の関与がより高くなる結果となった。
【考察】
先攻研究では、発症後における非傷害側半球の一次運動野や運動前野の活動増加に関する報告がある。これを踏まえて今回は、治療効果と大脳皮質活動の関連性について検討した。その結果、慢性期の機能改善に伴う傾向は、一次運動野の活動減少と非傷害側半球のさらなる活動比率の増大であることが示唆された。

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