九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 17
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高次脳機能障害に対する支援状況
3年間の新規相談の分析を通して
*和田 明美久野 彩
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抄録

【はじめに】
 平成18年度に開始された高次脳機能障害支援普及事業では、拠点機関にコーディネーターを配置し、相談支援や普及啓発を行ってきた。福岡市立心身障がい福祉センター(以下当センター)も拠点機関として理学療法士をコーディネーターに配置するとともに、包括的全体論的リハビリテーションを実施している。
【目的】
 当センターで対応した新規相談について分析し、高次脳機能障害の支援の状況を知る。
【対象および方法】
 平成18年度から20年度の3年間に当センターで受けた高次脳機能障害の新規相談について、相談記録から年度ごとの件数と対象者の性別、年齢、原因疾患、発症からの期間、相談者、相談内容、および相談後の転帰について調査した。
【結果】
 高次脳機能障害の新規相談件数は、平成18年度74件、19年度90件、20年度137件と年々増加し、3年間で301件であった。性別は男性が、年齢は20代~50代が多かった。原因疾患は脳外傷と脳血管障害の2つが多数を占めていた。発症からの期間は1年未満が32%で病院退院前後の相談が多い一方、3年以上も26%あった。相談者は、家族と医療機関の2つが多かった。相談の内容は、1.診断・評価・訓練、2.利用できるサービスや高次脳機能障害の知識などの情報提供、3.就労・就学や家庭生活の支援がそれぞれ約3分の1を占めていた。
 平成21年10月1日時点での相談後の転帰は、情報提供で終結したものが38%で、他は当センターの来所を案内したが、診断・評価・訓練に入ったものは47%であった。訓練後終了した65名について21年10月1日時点の状況を調べたところ、31%が就労・就学、33%が作業所等の施設利用につながっていた。
【考察】
 新規相談件数は年々増加傾向にあるが、これは啓発事業の成果であると考える。
 性別、年齢、原因疾患などはモデル事業など他の報告と大きな差はなかった。
 福岡県の発症率調査結果によると、当センターは福岡市内の新規発症者の約半数の相談を受けていることになった。当センターは相談対応に加え通所による高次脳機能障害のリハビリテーションを実施していることで、回復期リハ病棟退院後の継続した流れができてきている。それが3割の就労就学率を得るなどの成果につながっていると考える。しかし支援事業開始前の発症例では、最近高次脳機能障害の存在を知り相談に至る場合が多いという問題も明らかになった。
【まとめ】
 当センターにおける3年間の高次脳機能障害の新規相談について分析した。その結果、普及啓発により相談件数が伸び、不十分な部分はあるものの支援の流れができ、一定の成果が見られていることがわかった。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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