九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 18
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当院における脳卒中地域連携パスからの業務分析(第1報)
*藤原 愛作池田 道子井上 貴博
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抄録

【はじめに】
 当院では平成21年4月より大分県北部圏域脳卒中地域連携パス(以下地域連携パス)の運用を開始した。本パスは回復期リハ病棟への入棟時の日常生活自立度(以下生活自立度)を基に入院期間を設定している。
 しかし、回復期リハ病棟において導入前後での平均在院日数の変化は認められなかった。今回職員アンケートや入棟・退棟時の生活自立度を調査し、業務分析を行ったのでここに報告する。
【地域連携パス導入前後での平均在院日数の変化】
 脳卒中とくも膜下出血にて回復期リハ病棟に入院・退棟した平成21年4~10月の症例と平成20年4月から平成21年3月の70症例を対象とした。平均在院日数に関して平成21年度は76.9日、平成20年度は72.3日と導入前のほうが短くなっていた。
【現状分析】
 現状分析として回復期リハビリ病棟に勤務している療法士、看護師、MSWの24名にアンケートを実施した。生活自立度別の入院日数を把握していない職員が62.5%に及んでいた。また、円滑なマネージメントが行えているかという質問においては79.2%がどちらとも言えないとしていた。
 退院へ向けて要である家族指導や退院前訪問指導に関して計画通り行えているかという質問に対して、60.8%が上手く行えていないという回答であった。
 対象患者の入院・退院時の生活自立度の推移を調べてみると、入棟時Cレベルの症例37症例のうち54%が施設入所であり、特に大脳・脳幹損傷の症例になるとそのうち95%と高値を占めしていた。
【考察】
 脳卒中連携パスは全国的にも取り組んでいる地域も増えており、当圏域でも開始して1年が経過した。その中で、シームレスな医療に必要な情報提供は行なえているが、適切な退院時アプローチが上手く行えないケースがしばしば見られている。
 今回のアンケートより在院日数を考慮してのマネージメントが行えていないことがわかった。これは、回復期リハビリ職員が若い職員が多く、身体機能からゴールをボトムアップしていく傾向にあることが予想される。今後対策として、患者のデマンドに即した目標指向型アプローチを提供し、各職種の計画立案を行なうことが重要と思われる。
 地域連携パスを使用することで、計画的なアプローチが行えるイメージがあるが、実際は院内での啓蒙を十分に行わないと効果的な運用が望めないことが分かった。特に患者のデマンドへの対応は回復期病棟に入棟してから情報収集しているのが現状である。運用後のデータ分析がより効果的な地域連携パスに進化するポイントと言える。
 今後上記の問題点に対して、課題を的確に捉えた退院支援や連携先との円滑な調整につながるよう業務改善を進めていく。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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