九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第33回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 046
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当院における脳卒中片麻痺患者の短期日常生活活動と関連する因子
*高橋 博愛辻 義輝甲斐 有希荒牧 健太河口 美沙池永 勇二
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キーワード: ADL, PT実施量, 離床
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抄録

【目的】
 脳卒中片麻痺患者においては他疾患患者と比較して障害像は多岐にわたるため、重度障害例ではリハビリテーション(以下リハ)入院期間は長期化する。一方で病院機能分化が進む中、脳卒中片麻痺患者においても在院日数は短くなる傾向にある。そのため、当院でも日常生活活動(以下ADL)回復に要する期間や程度により脳卒中発症早期での病床あるいは転院先の検討が必要とされている。今回、当院での初回歩行時に装具および介助を要した脳卒中片麻痺患者おける短期でのADL帰結との関連をカルテより後方視的に調査した。
【方法】
 2009年12月から2010年11月に当院に脳卒中急性発症にて入院した105名(死亡退院、再発、重篤な合併症例を除く)のうち、初回歩行訓練を装具および介助を要した17名を対象とした。また、対象患者の2ヶ月後のBarthel Indexあるいは転院時のBarthel Index(以下転帰時BI)と年齢、在院日数、リハ開始時Barthel Index (開始時BI)、発症から起立訓練に要した日数(以下起立日数)、発症から歩行訓練に要した日数(以下歩行日数)、および1日あたりの理学療法実施量(以下PT実施量)との関連をそれぞれSpearmanの順位相関係数にて検討した。統計解析はJSTAT for Windowsを使用した。また、データは個人が特定されないよう配慮した。
【結果】
 対象患者の平均年齢は、67.6±11.1歳、性別は、男性12名、女性5名、疾患は、脳梗塞10名、脳出血6名、くも膜下出血1名、障害側は、右片麻痺9名、左片麻痺8名、在院日数は、55.4±21.41日、起立日数は15.4±17.33日、歩行日数は24.2±19.94日、PT実施量は1.5±0.63単位/日、開始時BIは、10.0±19.25点、転帰時BIは47.6±27.12点であった。転帰時BIと在院日数(rs=-0.763、p=0.023)、起立日数(rs=-0.705、p=0.0048)、歩行日数(rs=-0.581、p=0.0202)、PT実施量(rs=0.659、p=0.0084)、開始時BI(rs=0.846、p=0.0007)は有意に相関を認めた。
【考察】
 今回の結果より脳卒中片麻痺患者の短期ADLは、離床時期の違いに大きく影響を受けることを再認識した。また、急性期でのPT実施量の増加は、短期でのADL改善に寄与するものと思われ、発症早期からのPT実施状況も転帰時期でのADL能力の参考になるものと考えられた。対象数が少なく十分な根拠はないが、起立日数および歩行日数にバラツキを認めたことは、当院での離床開始時期について再考を要するものと思われた。
【まとめ】
 当院での脳卒中片麻痺患者では、短期ADL回復に開始時BI、離床時期、PT実施量が関連すると思われた。

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© 2011 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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