九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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カーフレイズ時の足幅及び足角の違いによる腓腹筋の筋活動量について
*江﨑 広幸*楠元 正順
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キーワード: 腓腹筋, 筋電図, 足幅・足角
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p. 218

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抄録

【目的】

臨床現場でカーフレイズは,下腿三頭筋筋力強化を目的としてよく行われている筋力増強運動である.しかし,その運動方法の明確な規定はなく,足幅等によって運動効果の違いが予測される.先行研究では,足角を変化させる,後足部アライメントを変化させて,底屈時の筋活動について報告はあるが,足幅を加えて検討を行った研究は少ない.そこで今回,足幅・足角の違いによる筋活動量を計測し,適切な運動方法を明らかにするため,比較・検討を行った.

【方法】

対象は足関節に既往のない,健常な成人男性10名(年齢:23.9±1.79歳,身長:172.2cm±4.89,体重:62.7kg±5.50)とした.筋電図の計測は,EMG マスターKm Mercury(メディエリアサポート企業組合社製)を用いた.サンプリング周波数1kHz とした.被験筋はすべて右側の腓腹筋とし,電極貼付部位は,腓腹筋内側 (以下,MG),の筋腹,腓腹筋外側 (以下,LG)の筋腹とした.各筋の筋電図データは,足関節底屈の等尺性最大収縮時の計測値にて正規化した値(以下,%MVC)を算出した.バランスを保つため壁際に立ち,肘関節90°屈曲位となるようにし,手掌が壁に接地するよう肢位をとり,課題施行時の姿勢を被験者間で同様になるように調整を行った.課題項目は,カーフレイズ時の足幅とつま先の向きを,①両踵を接触させた幅+足角45°(以下,narrow),②肩幅+足角0°(以下,normal),③肩幅+足角45°(以下,45°)の3項目とした.荷重時に内側,外側への偏りを減らすため,第1・2中足骨頭間へ荷重することを口頭にて指示を行った.測定回数は各課題3回とし,測定時間は,底屈位で5秒間保持を行い,安定した3秒間の筋電図積分値を算出した.統計学的分析には,Mann-WhitneyのU検定、Kruskal-Wallis検定を用いた.有意水準は5%未満とした.

【結果】

narrowは,MG47.6±13.6%,LG26.9±13.7%であった.normalは,MG43.6±11.8%,LG34.7±14.1%となり,45°は,44.0±12.2%,35.2±14.5%であった.narrow,normal,45°の各課題内において,MGの%MVCがLGよりも高い傾向を示した.Narrowにおいて,MGの%MVCはLGよりも有意に高い値を示した,各課題間でのMGの比較では,統計学的な有意差は認められなかった.LGも同様に認められなかった.

【考察】

今回の結果より各課題内において,MGがLGよりも%MVCは高い傾向にあった.筋厚は筋の生理学的断面積に比例することから筋の指標と考えられている.吉村らによると, MGがLGよりも筋厚が有意に厚いと報告している.したがってMGがLGより筋活動が高かったのは,解剖学的な差異によるものと考えられる.Bean(1997)は,つま先を45°外側に向けると腓腹筋の内側頭に効果的であり,逆に45°内側に向けると腓腹筋の外側頭により効果的であると述べている.一方,Hatfield(1984)は,否定的な見解を示しており,つま先の向きによる差はみられなかったという報告もある.本研究では、各課題間に差はみられなかったため,足角の差が影響しない可能性が考えられた.しかし,narrowが他の2つの課題と比べ,LGが低い傾向がみられた.他の2つの課題との違いは足幅のため,このことが影響していることが示唆された.今回症例数が少なかったため,詳細な検討が行えていない.今後は症例数を増やし,より効果的な運動方法の検討を行っていきたい.

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究は、当院の倫理審査委員会の承認を得て(承認番号2009)、ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に口頭および文書にて研究主旨を十分説明し、同意を得て調査を行った。

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© 2016 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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