La mer
Online ISSN : 2434-2882
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安全な漁業による安全な海-漁師の仕事を理解し,改善するための研究-
髙橋 秀行
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2024 年 61 巻 3-4 号 p. 337-343

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抄録
日本では漁業の作業研究はほとんど行われておらず,著者はその数少ない研究者の一人である。したがって著者のこれまでの約10 年の研究をとりまとめれば,日本における漁業の作業研究の経緯を大凡把握することができ,また次の10 年に取り組むべきことを考えるヒントになるだろう。そこで本稿では著者の一連の研究をレビューすることを目的とした。小型底びき網漁業を中心にいくつかの漁業における作業負担を調査し,得られた結果から作業台やアシストスーツの活用などを改善策として提案した。また漁業者が救命胴衣を着用しない理由に迫る現地調査も行った。著者の活動と同期するように,漁業の作業安全に関する国家的な取組もこの10 年で徐々に発展し,漁業者向けの安全講習会の実施や,救命胴衣着用に関する規則の改正が行われた。漁業者の作業安全を確保するには,これらの取組を一時的なものとせず,長期的に支える仕組みを整備する必要がある。
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© 2024 日仏海洋学会
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