ラテンアメリカ・レポート
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論稿
メキシコ自動車産業におけるNAFTA再交渉とその影響 ――日系企業を中心に――
内山 直子
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2019 年 35 巻 2 号 p. 55-69

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抄録

本論文では、2017年7月に開始された北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉過程と2018年11月30日に合意文書に署名された米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の合意内容およびその影響について、メキシコ自動車産業を中心に考察する。メキシコでは、2012年以降、自動車関連産業を中心に日系企業の進出が相次ぎ、その後5年間で進出企業数が2倍に増えた。しかし2016年以降はその伸びが鈍化し、トランプ政権以降は様子見の様相を呈していた。そのようななか、2018年8月末に公表されたUSMCAの合意内容は、NAFTA消滅は回避されたものの、自動車分野においてメキシコ側が譲歩し、米国の要求がほぼそのまま実現されたかたちとなった。その背景には何があったのか、また、今後のメキシコ自動車産業におけるUSMCAをめぐる議論について、各種現地報道および2018年8月の現地調査の結果も踏まえて検討する。

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© 2019 日本貿易振興機構アジア経済研究所
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