ドミニカ共和国の国家レベルの公文書、プエルトリコの公文書、米州開発銀行の公文書の各管理状況について、2018年11月に現地調査を行った。ドミニカ共和国では、2008年に制定された法律により国家総合文書館を中心とした公文書管理体制が確立しようとしており、ラテンアメリカの他国と比較しても類をみない先進事例となる可能性があることから、今後の動向が注目される。自治領の一例として調査したプエルトリコでは、公文書が米国本国に移管されることはなく自前で管理されながらも、その手法は米国型と欧州型が入り混じっており、領内での標準は定まっていないのが現状である。国際機関の一例として調査した米州開発銀行では、米国型の一要素である分散保管・集中管理型の手法が確立していたが、国際機関の中でいかに特徴的であるかを示すには、他機関のさらなる調査が求められる。