ラテンアメリカ・レポート
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論稿
2021年ニカラグア総選挙
浜端 喬
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2022 年 39 巻 1 号 p. 46-59

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抄録

2021年11月7日、ニカラグアで総選挙(大統領選挙、国会議員選挙、中米議会議員選挙)が実施された。2018年4月に発生した全国規模の反オルテガ抗議活動以降初めてとなる大統領選挙で、現職のダニエル・オルテガ大統領は75%を超える得票率で、再選を果たした。国会議員選挙でも、与党サンディニスタ民族解放戦線は議席を増やしたことで、彼が国民から強い支持を得たことを「証明」したかのようにみえる。他方、彼は投票日までに野党の有力な大統領候補者を逮捕し拘留してきた。

オルテガは、これまでの発言のなかで、2018年の社会動乱は反体制派によるクーデターであるとしたうえで、彼らを「テロリスト」と呼び、自身が行ってきた抑圧を正当化してきた。しかし、世論調査で、ほとんどの反体制派の候補者が彼より支持を集めていることが明らかとなった。与党の支持率やこれまでの選挙での経験から、選挙での敗北を恐れた結果、抑圧に至ったものとみられる。またオルテガは、政権寄りの国内企業家団体、福音派教会、ロシアや中国など新たなパートナーとの関係を深めることで、権力の維持を図っている。

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© 2022 日本貿易振興機構アジア経済研究所
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