チリの公的年金制度は、世界的にも早期に導入された個人積立型年金制度を特徴としてきた。しかし、2000 年代以降、その構造的欠陥が顕在化し、数次にわたる改革が実施されてきた。改革は主として非拠出型年金部分の拡充を軸に進められてきたが、2025 年の改革は、その規模と対象範囲において画期的である。高齢者貧困は顕著に改善し、世論調査からも年金制度を重要問題とみなす割合が低下していることが確認される。一方で、公的年金制度における再分配機能の弱さや、個人積立型制度の存続に対する批判は依然として根強い。本稿は、所得階層および政治的立場別の世論データを用いて、2025 年年金制度改革の効果と限界を分析する。