本研究は、ラテンアメリカの二大国であるブラジルとメキシコを対象に、市民によるグローバルサウス認識を実証的に明らかにすることを目的とする。近年、国際秩序の再編が進むなかで、「グローバルサウス」への社会的・学術的関心が高まっているが、その概念や定義は依然として曖昧であり、理解や解釈は国ごとに大きく異なる。ブラジルは自らをグローバルサウスのリーダーとして積極的に位置づける一方、米国との結びつきが強いメキシコは、より曖昧な姿勢を示している。これまで国家エリートによるグローバルサウスについての認識を対象とした研究は進展しているものの、一般市民の理解を実証的に検討した研究はほとんど存在しない。独自に実施したオンライン・サーベイの結果、グローバルサウス概念は、ブラジルでは政権支持、新興国重視、反米的国際秩序観といった文脈で、メキシコでは国際協調や多国間関係の重視という文脈で、それぞれ異なる意味をもって市民に受容されていることが明らかとなった。