1966 年 16 巻 3-4 号 p. 68-73
ツマグロヒョウモン(Argyreus hyperbius)幼虫の脱皮回数,すなわち令数に関して,過去報告されている観察の結果は大部分5令のようであるが,今回筆者の観察では5回脱皮,6令を確認した.そこで(1)4回脱皮の5令と,6回脱皮の7令は共に観察の誤りで,5回脱皮の6令だけが正しいのか.又は(2)何等かの要因によって,5令,6令,7令が各々実存するのか.この点についてはまだ明らかでない.ヒョウモン類の大部分の種の幼虫が5令とされている中で,Argyreus hyperbiusだけが例外的に6令をみたこと,及び7令の可能性もありうることは,大変興味あることである.本稿を草するにあたり,お世話になった白水隆教授,宮木省三主任,青柳昌宏氏に対して深謝の意を表する.