2022 年 20 巻 p. 1-18
この研究の目的は,自作発音記号教材が,小学校教員養成課程の大学生に与える効果を検証することである。発音学習の経験の乏しい学習者対象にパワーポイントを用いて作成した教材「発音記号の世界へようこそ」は,IPAを基本にしながらも,音声学,英語学等を履修しない学生にもわかりやすいように簡略化した発音記号を用いた。教材作成過程においては,英音と米音の違いや地域による発音の違いのため,見本の単語を差し替える必要が起こるなどの問題点が生じた。アンケートの結果から,参加者はこの教材を通して発音記号を学ぶことで,発音の明瞭性の大切さを一層強く意識するようになったことが明らかになった。また,その結果として児童に正しい発音を指導するだけでなく自らも正しい発音を学びたいという意欲を高めることができた。