抄録
近年の情報通信技術(ICT)の飛躍的な進展に伴い、薬学教育の分野においてもICTを活用した教育の重要性が高まっている。本研究では、薬学教育において医療コミュニケーション及び医療スキル教育のための仮想現実(VR)コンテンツの開発とその紹介を目的とした。薬局窓口、病院のベッドサイド、在宅患者の居室における医療面接を対象とした3種類のVRコンテンツと、呼吸音の聴診、末梢静脈採血、筋肉内及び皮下注射の手技を対象としたVRコンテンツを制作した。これらのコンテンツを用いた実習を薬学部3~5年生に実施し、質問紙調査によりその効果を評価した。学生はVRを通じて臨場感のある環境で学ぶことができ、実践的な知識や技術の習得に効果がある可能性が示された。以上のことから、薬学教育において有用な教育手段となり得るVRコンテンツを開発することができた。