抄録
目的:末梢静脈留置カテーテル挿入(Peripheral intravenous catheterization ; PIVC)の成功率向上のため、駆血する上腕筋のミルキング効果を応用した2段階駆血法を提案し、穿刺対象末梢静脈の選定しやすさを評価する。
方法:看護師38人を対象に、駆血圧80 mmHgの従来のゴム駆血法と、その上腕中枢側に駆血圧80 mmHgの血圧計カフを追加した2段階駆血法について、穿刺予定静脈血管の超音波画像解析と近赤外線カメラによる動画解析ならびに看護師の触知怒張度を比較評価した。
結果:実験協力者37人のデータについて分析した。穿刺対象末梢静脈選定時間は2段階駆血法の方が有意に短く、看護師の触知怒張度も有意に高かった。怒張時の表皮から末梢静脈血管上端までの深さと血管断面積は両駆血法に有意差はみられなかった。
結論:2段階駆血法は看護師の触知怒張度を高め、穿刺対象末梢静脈血管の選定時間も短縮できることから、PIVC成功率の向上と電子駆血帯等の穿刺支援医療機器の開発に資すると期待される。