日本物流学会誌
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ロジスティクスと物流学物流論争の一助として
武城 正長
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1995 年 1995 巻 4 号 p. 93-111

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抄録

第1章 (ビジネス・ロジスティクスの把握とマーケティングとの関係) においては、阿保栄司氏のロジスティクス・モデルを手掛かりに、 (1) 軍事ロジスティクスとの同一性と異質性、 (2) マーケティングとロジスティクスとの関係を明らかにする。
第2章 (物流の経済的性質) においては、 (1) 物流は、「物財・商品にかかる時間と空間を変動させる活動」であり、物財と同じ「物質的」生産活動であること、 (2) 物流と運輸は委託生産関係にあること、 (3) 物流情報は物流生産活動の「模写」であり、生産活動そのものではないが、関係者に共有されることによって物流生産の統合と管理が可能となることを試論的に示す。
第3章 (ロジスティクス過程の自立) においては、 (1) 顧客「サービス」といわれるが、経済学的にみてサービスとはいえないこと、 (2) マーケティングは顧客サービスを製品戦略と同様に扱うが、そのことによってロジスティクスは「補給」から「前線」に転化し、軍事ロジスティクスとは異質のものになること、 (3) マーケティングにおいてメーカーは消費者を直接捉えるが、その結果流通過程は、生産・物流 (・販売) ・消費過程に変化して実質上解体すること (単純な商物分離ではないこと) 、 (4) 経営横断的ロジスティクスは事実上のものであり、制度化は困難であることなどを解明する。
第4章 (物流の経済学と経営学) においては、 (1) 物流は生産活動だから経済学の対象となること、 (2) ただ、 (a) 市民生活との日常的な接触、 (b) インフラ依存、 (c) 他者依存などの点で特殊であること、 (3) 生産管理指標としては「在庫」が理論的であること、 (4) 物流費を「第2生産原価」として扱うと「第3の利潤源」が明らかになることなどについて分析する。

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