日本物流学会誌
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レンタル事業における拠点間製品融通によるリスクプーリング
松井 栄一郎森戸 晋
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2001 年 2001 巻 9 号 p. 61-68

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抄録

循環型社会への転換の必要性が叫ばれるなか、製品や材料の再利用が注目されている。本論文では、再利用の一形態であるレンタル製品を取り上げ、全国展開するレンタル事業を想定し、地理的に分散する複数の拠点に対して費用削減とサービス率向上を狙いとした拠点間の製品融通の方法を検討する。拠点間融通の形態としては、 (1) 対象地域をエリアに分割し、エリア間のやりとりを許さない形態、 (2) 対象地域を明確に区切らない形態、の2種類を検討対象とし、前者に関しては、一定基準のもとで最適なエリア分割を決定する、集合分割問題に基づく方法を示す。一方、後者に関しては拠点間の距離が一定以内なら融通が可能な、よりフレキシブルな方法を考える。分析の結果、1) 融通による総費用の削減やサービス率の向上が期待されること、2) 融通の可否は目先の費用だけで判断すべきでないこと、3) サービス率の向上は融通を許すエリアを明確に区切らない融通形態の方が高いこと、が明らかになった。

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