日本物流学会誌
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モーダルシフト政策に寄与する貨物輸送経路選択のモデル分析
ランダム・パラメータ・ロジット・モデルの適用
伊藤 秀和
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2008 年 2008 巻 16 号 p. 201-208

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抄録

環境負荷低減のため、国内貨物輸送においては、トラック輸送から環境負荷の小さい内航海運や貨物鉄道へのモーダルシフトは不可欠である。本論文では、モーダルシフト進展への政策示唆のため、複数輸送経路の競合が見られる北海道発域外向け内貿ユニット化可能貨物を対象とすることで、荷主の輸送経路選択に影響を与える要因を明らかにし、その影響の程度を比較・議論することを目的とする。具体的には、物流センサス・データを用いて、離散選択モデルのひとつの手法で、近年注目されているランダム・パラメータ・ロジット・モデル (RPLM) による荷主の輸送経路選択分析を行った。その結果、長距離海運・貨物鉄道利用荷主に比べ、近距離海運・海峡フェリー航路のトラック主利用荷主の時間価値が高く、非弾力的であることが明らかとなった。また、ロット・サイズは航空利用に大きく影響することを確認した。さらに弾力性効果分析により、鉄道輸送時間短縮は他の輸送経路に比較してモーダルシフトに貢献することを、道内利用港湾アクセスが長距離海運利用のボトルネックになっていることなどを議論した。

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