哺乳類科学
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原著論文
広島県呉市上蒲刈島におけるイノシシの食性
木場 有紀坂口 実香村岡 里香小櫃 剛人谷田 創
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2009 年 49 巻 2 号 p. 207-215

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抄録

広島県島嶼部に位置する呉市蒲刈町上蒲刈島を調査地とし,2003年7月から2006年11月の間に捕獲された268個体のイノシシSus scrofaの胃内容物を用いた食性調査を行った.胃内容物の肉眼観察では,植物質として,柑橘類,カキノキ,サツマイモ,イネ,トウモロコシなどの農作物,堅果,木本,草本,種子などの自生植物がみとめられた.動物質では,多足類,昆虫類,軟体動物類,腹足類,甲殻類,爬虫類,鳥類,哺乳類が出現した.胃内容物に堅果が多く出現した年には柑橘類が少なく,堅果が少なかった年には柑橘類が多くなる傾向がみられた.7月から12月までに捕獲された個体の胃内容物の平均水分含量は73.3%であったが,捕獲月による変動が認められ,7・8月に捕獲された個体では,他の月に比べて水分含量が高かった.また,胃内容物乾物中の平均粗タンパク質含量は約18%であり,これは家畜ブタが通常摂食している飼料よりも高い可能性が示唆された.7月と8月に捕獲されたイノシシの胃では,他の時期に比べてNDFの割合が高く,NFCの割合が低かった.イノシシの胃内容物中に尿素やアンモニアが検出されたことは,イノシシの胃内にウレアーゼ活性のある乳酸桿菌が生息している可能性を示唆するものであった.

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© 2009 日本哺乳類学会
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