哺乳類科学
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短報
箱罠とふくろ網罠を用いたゼニガタアザラシPhoca vitulina stejnegeriの捕獲
小林 由美小林 万里高田 清治蔵谷 繁喜小川 泉堀内 秀造馬場 浩渡邊 有希子桜井 泰憲
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2011 年 51 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

サハリンの先住民族であるニブフ族が,ゴマフアザラシPhoca larghaの狩猟に利用していた箱罠,および北海道東部厚岸湾内で地域住民がゼニガタアザラシPhoca vitulina stejnegeriの狩猟に用いていたふくろ網罠を改良し,厚岸湾内でゼニガタアザラシの捕獲を試みた.その結果,捕獲まで至らず逃罠した事例(箱罠で1頭,ふくろ網罠で2頭)があったが,成獣のゼニガタアザラシ計3頭の捕獲・放獣に成功した.改良した箱罠は,1)捕獲効率(設置期間あたりの捕獲頭数)が高い,2)捕獲個体が罠内部で怪我や体力を消耗しにくい,3)捕獲後に個体を麻酔して不動化させるまでが容易,4)製作費用が安価,そして5)罠の設置と回収にかかる労力が少ない,といった点でふくろ網罠に比べて総合的に優れていると判断された.本方法により,人にも動物にも安全で,成獣も捕獲できるゼニガタアザラシの捕獲手法が確立された.今後は,罠の改良など捕獲効率の向上や非選択的な捕獲方法の検討が必要である.

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© 2011 日本哺乳類学会
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