2015 年 55 巻 1 号 p. 35-41
九州北部の照葉樹林(長崎県多良山系,標高400 m)において,巣箱と自動撮影カメラを組み合わせた方法(巣箱自動撮影法)で,ヤマネGlirulus japonicusの活動周期を2011年10月から2014年3月までの30ヶ月間連続的に調査した.ヤマネは冬の一時期(12月中旬あるいは1月上旬から2月下旬までの2ヶ月以上3ヶ月未満)を除き,ほぼ通年,高頻度に撮影された.回帰式を用いて最寄りの気象観測所の旬平均気温から調査地の旬平均気温を推定することで,冬眠時期の気温を推定することができた.巣箱自動撮影法は,本種の冬眠の研究だけでなく,野生個体の日周活動の研究にも利用できる有効なツールであることが示された.