哺乳類科学
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哺乳類科学60巻記念特集2 哺乳類の最新研究手法
近赤外分光法を用いた動物の簡易かつ迅速な生理モニタリング法の開発について
木下 こづえ
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2020 年 60 巻 2 号 p. 297-305

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抄録

近年,分析手法の発展に伴って,野外で採取されたサンプル中の微量な物質の生化学分析が可能になっている.超微量生理活性物質であるホルモンもその一つである.排泄物など多くの夾雑物を含むサンプルからホルモンを抽出し,その微量濃度をモニタリングできるようになった.近年の主な分析手法は酵素免疫測定法であるが,その他にも放射免疫測定法,液体クロマトグラフィー・質量分析計,およびイムノクロマト法などがある.筆者は,これらとは別に近赤外分光法による動物の生理状態の評価を試みてきた.本報告では,筆者がこれまでに取り組んできた尿近赤外スペクトル分析による発情診断法の開発および糞近赤外スペクトル分析による種同定の可能性について紹介する.また,常温で操作が可能なイムノクロマト法およびスマートフォンアプリを利用した糞を用いた簡易ストレスチェッカーについても紹介する.

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© 2020 日本哺乳類学会
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