マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
テーマ書評
他者との関係性から見る消費者行動
─ 他者要因と自己要因の視点から ─
宮澤 薫
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2014 年 33 巻 4 号 p. 131-142

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抄録

本稿では,消費者に与える他者の影響について,影響を与える他者側,影響を受ける消費者側の自己概念や自己観という異なる二つの方向から,先行研究をもとにそれぞれの影響要因を整理した。他者側の要因としては,他者自身の性質や特徴,他者との関係の距離感,影響を及ぼす条件や状況などによって消費者に異なる影響を与えることが明らかにされている。一方,影響を受ける消費者側は,共同性‐作動性,相互独立的自己観‐相互協調的自己観,個人的アイデンティティ‐社会的アイデンティティといった消費者自身の性格特性や自己観の違いなどによって,同じ条件,状況下で他者から影響を受けた場合でも,その後の態度や行動が異なることが確認されている。影響を受ける消費者側からのアプローチは比較的新しい試みであり,今後依拠する理論の妥当性,適切な尺度の再検討等の課題に取り組むことで,さらなる展開が期待できる領域だと考えられる。

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© 2014 The Author(s).
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