2015 年 34 巻 3 号 p. 28-45
ソーシャルメディアの利用者が5000万人を超え,対コンシューマー企業各社は,ソーシャルメディアをマーケティングの現場に活用するための試行錯誤を加速させている。そうした試みの中,外部のソーシャルメディアを利用するのではなく,企業自身が自社のウェブサイト(オウンド・メディア)にソーシャルメディアを開設し,ファン組織を形成する「消費者コミュニティ」の方法に関心が集まっている。消費者コミュニティとは何か?今そこでなにが起きているのか?本稿では,まず,ソーシャルメディアを4つの特性に分類し,消費者コミュニティの開設に最適なエリアを探る。次に,消費者コミュニティを活性させるための運営モデルについて解説する。最後に,株式会社ドクターシーラボと森永乳業株式会社による消費者コミュニティのマーケティングへの活用事例をもとに,コミュニティへの関与と購買との相関,ファン化とそのプロセス,コ・クリエーションの可能性までを概観する。